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#36. パワハラは何を話したかではない

パワーハラスメントは、言葉の内容だけでなく、その発言の背景、意図、そして受け手の感じ方に大きく依存すると言う事はみなさん、よくご存知だと思います。

以前にもお伝えしましたが、NLPでは「あなたが相手から受け取った反応が、あなたのコミュニケーションの成果である」という考え方があります。この考え方は、さすがに受け入れるのが辛いと感じる方も多いと察しますが、私には少しずつ真理に聞こえて来ています。

研修担当者には、この複雑な問題をよく理解していただき、パワハラ研修に於いて、いかに適切に伝えるかを一緒に考えてみましょう。
「今どきパワハラする人なんているの?」と思う人もいるかも知れませんが、私達のコミュニケーションは100%同じイメージを共有する事は出来ませんので、全ての人はパワハラ予備軍であると認識を改めた方が良いのです。

1. コミュニケーションの背景を理解する
パワハラの多くは、職場における力の不均衡から生じます。上司が部下に対して不適切な圧力をかけたり、無理な要求をしたりすることが一例です。しかし、言葉の内容が常に明白なわけではありません。時には、「これが君のためだ」というような表面上は肯定的なメッセージも、圧力として受け取られることがあります。研修では、言葉の背後にある力の構造を理解していただく事から始めましょう。

2. 受け手の感情を重視する
コミュニケーションは双方向です。パワハラの場合、受け手の感じ方が重要な指標になります。同じ言葉でも、受け手の個々の状況や感情によって、受け取り方が異なるため、この点を敏感に察知する必要があります。
研修では、職場での感情的な知覚を高めるトレーニングを行い、受け手の立場に立って考える方法を学びます。嫌いな相手から言われたら何でもパワハラに感じると言う演習が役立つかも知れません。(例:嫌いな人から不愛想に褒められるようなコミュニケーションをイメージしてもらう)
また、以前お伝えした、ポジションチェンジの手法も役立つでしょう。

3. 開かれたコミュニケーションを促進する
パワハラを防ぐ最も効果的な方法の一つは、開かれたコミュニケーションを促進することです。これには、意見や感情を自由に表現できる安全な環境の構築が必要です。研修では、職場での信頼関係の構築、意見の多様性を尊重する文化の醸成について伝えます。
好きな相手から言われた事は、何でも好意的に感じるという演習が役立つかも知れません。(例:好きな異性から笑顔で「痛いところ」をつかれるようなコミュニケーションをイメージしてもらう)
ラポール形成が相互のコミュニケーションのパイプラインになる事が実感できると良いですね。

このように、パワハラは「何を話したか」だけではなく、その背景、意図、受け手の感じ方に深く関わっています。研修担当者として、これらの側面に焦点を当てることで、より健全な職場環境を構築するための貢献が可能ですので、次に具体的な研修内容についてお伝えします。

1. 実践的なスキルの提供
理論だけでなく、具体的なスキルの提供も重要です。たとえば、効果的なフィードバックの方法、非言語コミュニケーションの理解、衝突解決の技術など、実際の職場状況で直接適用できるスキルを研修で扱うことが大切です。これにより、理論を実践に移す橋渡しを行い、より実効性のある学びを提供します。

2. ケーススタディを活用する
実際のパワハラの事例を分析し、どのように対処すべきかを考えるケーススタディは非常に有効です。実際の事例を通じて、理論がどのように適用されるかを理解することで、研修参加者の学びが深まります。また、事例を共有することで、共感や理解が生まれ、研修の効果を高めることができます。

3. 継続的なフィードバックと評価
研修は一度きりのイベントではなく、継続的なプロセスです。参加者からのフィードバックを定期的に収集し、プログラムの改善に役立てることが重要です。また、研修の成果を評価し、必要に応じて調整を行うことで、効果的な学習環境を保つことができます。

4.体感ワーク
既に書きましたが、好きな相手から言われた事は、何でも好意的に感じるという演習、嫌いな相手から言われたら何でもパワハラに感じると言う演習、ポジションチェンジなど内面を探るワークも役立ちます。

「パワハラは、何を話したかではない」という観点から、研修担当者はコミュニケーションの背景、意図、受け手の感じ方に注目し、それらを包括的に理解することが求められます。このようなアプローチを通じて、職場での健全な人間関係の構築と、パワハラの予防・対策に効果的に貢献することができるでしょう。

大前提として、相手とのラポール形成の状況が肝であり、相手が守りに入ってしまったら何のメッセージも効果がありません。相手の捉え方のフィルターは相手にしか変えられないのです。
世の中には日々、自身の在り方を変える事でコミュニケーションを劇的に改善したという方が多くいらっしゃいます。
私の知る限り、そのような方々が成長する組織を支えている人材として選ばれる傾向にあると見ています。

会社は利益追求に走りがちであるため、相手に寄り添うコミュニケーションというものをあまり大切にしていないケースが多いように思います。一方、そんなコミュニケーションをとれる方がリーダーとして引き上げられるという傾向がある。
そう言った意味では、人間社会は意外と捨てたもんじゃありませんね。

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