雨粒のライフプラン(「猫を棄てる」感想文)

「おそらく僕らはみんな、それぞれの世代の空気を吸い込み、その固有の重力を背負って生きていくしかないのだろう」

この一文にノックアウトされてしまった。

最近私は30歳になり結婚もしたので、生涯の資金計画を立て始めた。
「2020年で30歳、2050年に60歳、2080年に90歳」といった形で、自分の年齢に対応させて年収、税金、ローン等の前提を置き、毎年いくら貯蓄に回し、余分なお金はいくらか、といったことを計算する。

20代の頃は、とにかく色々なことにチャレンジし続けるべきだと思っていて、「将来どうなりたいか」という視点で考えたことはなかった。チャレンジし続けることでいつか「何者か」になれると思っていた。そもそも「何者か」にならなければいけないのか、ということを問うこともせず、自分を向上させることに一生懸命だった。
しかし、「2050年に60歳、2080年に90歳」とやるうちに、時間はあまりにも具体的で定量的で、「いつか」と思っているうちに死んでしまうなと思った。なので、まずは死ぬまでにやりたいことは何だろうと考えた:

一つ、子供を残したい。奥さんと相談して二人で納得いくタイミングが見つかれば出来そうだ。
二つ、組織を残したい。会社でもサークルでもいい。社会に対してポジティブな影響を与える組織を残したい。
三つ、思想を残したい。自分という人間が生きて学んだことを、文書や音声などのメディアに残したい。
四つ、演技の勉強をしたい。これだけ毛色が違うけど、学生の頃にやり残したことなので死ぬまでにはやりたい。

じゃあ、この4つをどんな感じで達成していこうかと考えた:

一と二は、出来れば若い時にやっておきたいので、例えば60歳になるまでには子供は自立して欲しいし、事業の継承もできるようにしておきたいと思う。三は、Noteなどに書き残しておいて、徐々にまとめていく形にしようと思う。
四は、60歳になったらそれまでの貯蓄を使って演技の大学に行き、10年くらいは演劇生活を送り、70歳からは少ない年金と貯蓄の切り崩しで穏やかに低価格で暮らそうと思っている。

と、いうのが私のライフプランであり、これが出来るような資金計画を立ててみたものの、まあこの先どうなるか分からない。2080年まで行ってしまうと、日本という国が無くなっているかもしれないし、コロナ以上に致命的なウィルスが世界中に蔓延しているかもしれない(戦争、は人類が一番避けなければいけない)。まあ分からない。

しかし、私は自分の将来に対して悲観したり、「将来のことなど分からない」と放棄してはいけないと思っている。
何故なら現代の、少なくとも日本における悪は、人が将来に対して希望や意思を持てないようになってしまっていることだと考えるから。私は、「この時代固有の重力」に屈しない。私は必ず自分のやりたいことを、この人生で成し遂げようと思う。

と、いうのがバブル崩壊直前の1990年に生まれ、ゆとり世代と呼ばれた私という雨粒の人生に対する決意表明であり、「猫を棄てる」を読んで強く思ったことだ。

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「お金が良い」と言う名前なのでゴールデングッドマンにしてみました。名前のせいで金融機関で働いてます。 プロフィール写真はDancing Bearという昔のバンドのマスコットキャラです。ヘッダーはパキスタンに行った時の景色です。

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