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BGMというヴァーチャルリアリティ



在宅勤務に変わってから、そろそろ2週間が経とうとしている。そう考えると、あっというまに感じる。


さて、在宅勤務が始まり、あることに気付いた方も多いのではないか。


そう、家での作業は想像以上に集中力がもたない。気を逸らすものが多い。

公私の区別がつきにくい、そんな空間にいる。当然だ。もともと私的な空間なのだから。


とはいえ、仕事をしないことには始まらない。どうするか。環境を整える。


環境、と一口に言っても、様々な整え方がある。デスクを整理したり、PC上の環境を整えたり。今住んでいる賃貸は、部屋が2つある。1つを完全に作業部屋にした。空間を仕切る。これだけでも全然違う。


しかし、だ。まだ何か足りない。なんだろう。考える。


もともと作業するためによくカフェに行っていた。カフェという環境に課金する、という感覚。


もちろん、コーヒーが好きだから、というのも大きな理由だ。しかし、もっと大きい要因は、あの雰囲気の中で作業ができるということだ。


という事は、空間を仕切った上でカフェ的な雰囲気を作れば、作業効率は上がるだろう。


では、どうやって雰囲気を作ればいいのか。内装を変える?そんな金銭的余裕はない。強いていえばデスクを購入したくらいだ。あの雰囲気を作っているものは何か。


…そうか、それは音だ。


あの、薄くかかったジャズっぽいBGM、そして、耳に入ってきそうで絶妙に聞こえてこない隣人の会話。そのミックス。言ってみればこの環境音が、カフェの雰囲気を作っている。そして、その環境音をシャットアウトするノイズキャンセリングのイヤフォン。

この音の三層構造が重要になる。


早速探す。YouTube。Chill Out jazz、と入力する。良さそうな音源を選ぶ。その一方で、カフェの環境音を重ねて流す。そして、ノイズキャンセリングのイヤフォンをつける。音が遠くなる。完成だ。


コーヒーを淹れる。そして、作業に移る。


背景の音楽。薄くかける。部屋が変化する。


環境音。誰かが隣で作業をしているような、擬似的な体験。


擬似的な、つまり、ヴァーチャルな。音は、ヴァーチャルリアリティだ。


様々な機器が作られ、VRだ、仮想現実だ、と喧伝されているが、何のことはない。昔から、音楽というヴァーチャルリアリティによって人は環境を作ってきたのだ、と思う。

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