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「強み」にフォーカスが当たることの弊害。

なぜ人々は「チームを組むのか」という根源的な問いに立ち戻れば、より良いチームをつくるためのシンプルで本質的な核心に突き当たる。

なぜチームが必要なのか、それは

"個々の強みを強め合い、弱みを補い合う。
これにより、単なる個の集合ではなし得ない集団的偉業を成すため。"

という一言に集約される。

故に「チームワーク」が大切であり、
故に「相互理解」が大切、

というのが理屈で理解できる。

ここでも何度も繰り返し語られる2つのキーワードの。
「強み」と「弱み」。

個の相反する特性、つまり陰と陽が同居する「強み」と「弱み」においては、比較的「強み」にフォーカスがあたり議論されることが多い。

例に挙げれば、近年またブームとなっているギャラップ社のStgenthsFinderの根底にある思想は、

"弱みを解決するのではなく、強みにフォーカス(自己認識と開示)することによってより個とチームのパフォーマンスを高めよう"

ということだ。
人気の診断メソッドの骨子は人間誰しもが34つの強みに分けられ、その重みのTOP5を用意された質問に答えることによって明らかにするというもの。
私も自己認識、ならびに自分という人間をチームに理解してもらうためのトリセツ的な要素として大いに活用してきた。

こういった「個の強み」へフォーカスが当たる理由は、当然キャリア/スキル開発という観点があり、さらに近年だと働き方改革、副業やフリーランス、会社や国家などの枠組みの希薄化というコンテキストも相まって、
より「個の力」が注目されているからかもしれない。

しかし、この流れには「個ではなくチーム観点」だと危うい要素を含む。
つまり「強みへのフォーカス」はあくまで個としてのスキル/キャリアデベロップメント上は大変有効かもしれないが、その個の強みを軸としたフィードバックループはあくまで個人に閉じている
(当然、個の強みが人間関係構築力の資質に分類されるようなものであればその限りではないが、あくまで総論で考える)

レイヤーを1つ上にあげて、
「チームとして大きな成果を残すためにはどうしたらよいか」
「最高のチームをつくるためにはどうしたらよいか」
「チームでワークするために、個はどう振る舞えば良いか」

という問いに対しては、

「強み」よりも「弱み」の補完を前提としたフィードバックループ

が大切であるという説が最近有力だ。

つまり、

・個のスキル開発 → 「強み」 >> 「弱み」
・チームのパフォーマンス改善 →  「弱み」 >> 「強み」

※ 当然チームのパフォーマンスにおいて「個の強み」を活かすことは大切であり、チームの場合はどちらかというと順番の問題でもある。

こちらも簡単なロジックで説明できる。

人間誰しも他人より自分が優れている部分を示し、承認されたいという欲求を持っている(程度の差はあるが)。
強みにフォーカスされたチームではその

強みの開示 > 強みへの承認 > 強みへの自己認識増大 > 強みへの欲求の拡大

というループにハマる。
最悪のケースは、自分がいかに優れているかという鍔迫り合いになり、いわゆる「マウントの取り合い」という事態に発展する。

当然そうなるとチーム内で個が「リスクを取ったチャレンジ」ができなくなる。「承認」によって積み上げられた空虚なチーム内評価が、たった一度の失敗によって崩れてしまうのが怖いからだ。
この「リスクを取ったチャレンジができなくなる」というのがチームのパーフォーマンス上一番クリティカルと考える。

逆に、
「安心してリスクを取ってチャレンジできる」環境が、一番強い。

この一言は、理屈でも感覚でも容易に理解、想像できると思う。

明確なファクトで語るならば、これはGoogleが「Project Oxygen」によって解き明かした最もパフォーマンスの高いチームの特徴は「心理的安全性」にあるという調査結果に繋がる。
調査の詳細はこちらに譲るとして、チームパフォーマンスの観点でもっぱら有効だと近年話題なのがこの

弱みの開示を前提とした安全性の高いチーム

なのだ。

故に、個の「強み」にフォーカスを当てる場合、何を目的にそのスポットライトがあるのかをしっかり認識した方がいいのだろう。
また、繰り返しになるがチームにおいて「個の強み」を活かすのはとても重要だが、真にその状態をつくるためには「弱みの開示」を前提とした強固な土台が必要というロジックである。

はじめのチームを組む目的に立ち戻ると

"個々の強みを強め合い、弱みを補い合う。
これにより、単なる個の集合ではなし得ない集団的偉業を成すため。"

なので「強み」と「弱み」の開示と活用は当然同等に大切である。問題は、それぞれをどのコンテキストで語るかにある。こういったメタ認識をしっかり持った上で、組織をつくる人間は個とチームのパフォーマンス改善に取り組む必要がある。

最後に、あらためてこんなことを考えさせられた良書へのリンクも貼っておく。本書ではこのエントリーのような切り口は語られていないけど、こういう視点もあったな、ということで。

THE CULTURE CODE|最強のチームをつくる方法

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東京農工大学修士ビークルダイナミクス専攻 > USEN > VOYAGE GROUP > genesix創業/取締役 > SmartNews創業期メンバーから人事責任者 > Runtrip, Inc 取締役, Aurolla Design代表
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