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掲載記事アーカイブ

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総合誌、同人誌等で過去に掲載されたものを放り込んでいきます。
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2017年3月の記事一覧

閉じた世界の暴力について(「現代短歌」2016年11月号)

 総合誌を読みながら、この記事は誰に向けて書かれているのかと、雑誌の読者層について考えることがある。恐らく、年齢層は結社やカルチャーに属する者のほぼ同じか、もう少し上下に広いかといったところだろう。この辺を、小説の文芸誌と比較してみると面白いかもしれない。小説執筆のカルチャーだって存在するが、その受講者が文芸誌の読者層のマジョリティであることは考えにくい。対して、毎年何かしらの形で繰り返される短歌

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人間、この問われるもの(「現代短歌」2016年3月号歌壇時評+あとがき)

 勿論ここで安易に結論が出されても困るのだが、それでもお互いの話のあまりのすれ違いぶりに、暫く呆然としてしまった。「短歌」[2016年]1月号の新春座談会「短歌における『人間』とは何か」の話である。

 座談会中、ずっと困っていたのは穂村弘だろう。小池光が永井陽子の歌に対して「もし永井陽子さんがのうのうと生きて今六十幾つになっていたら、この歌もおのずから別の読み方というか評価になってこざるをえない

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