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くじらの背中で見た夢②〔元民間人校長のひとりごと〕

退職辞令

令和5年3月31日をもって校長としての勤めが終わりました。肩書も「元」民間人校長に変わりました。

午前中に県の福祉会館で辞令交付式があり、定年を迎えられた他校の校長先生方と一緒に、教育長から人事発令通知書をいただきました。
私は定年ではなく、いわゆる普通退職のため、発令事項には「辞職を承認する」と記されていました。任命権者である教育長に辞職をお認めいただいたということです。これで正式に公務員の身分を解かれたことになります。

副校長としての1年を含めてトータル3年間お世話になった学校を離れるのは寂しいですが、自由の身になれたことの嬉しさもひとしおです。自分で決めたネクストステージに向かう高揚感で、昨晩はあまり眠れませんでした。

民間人校長も、県の職員である以上、在職中は当然ながら公務員の服務を遵守しなければなりません。服務というのは公務員に課せられる義務や規律のことなのですが、公務員(と公務員を目指して勉強している方)以外には馴染みのない用語だと思います。私も、県立学校に採用されて初めて学んだことの一つです。

服務には3つの職務上の義務と5つの身分上の義務があります。簡単にいうと、前者は「ちゃんと仕事をしなさい」、後者は「公務員という身分を常に自覚しなさい」ということです。

勤務時間中に仕事に専念するのは当たり前のことですが、会社員などと違うのは、全体の奉仕者として(公共の利益のために)職務を遂行するという点です。特定の個人や団体に特別の利益を与えるようなことはできません。まぁ、税金で食べさせていただいているので、当然ではありますが。

さらに、市民の信頼と期待を決して裏切らないように、24時間365日、公務員としての規範意識を持って行動しなければなりません。法令違反などもってのほかです。仕事が終わった後も、休日も、いつもこの意識がつきまといます。
若かりし頃、280馬力のツインターボエンジンと足回りをフルチューンしてブイブイしていた私も、車を運転するときは制限速度をしっかり守って走るようになりました。気付いたらすっかり模範ドライバーです。今だから告白しますが、ずっと県外ナンバーだったので、身バレの可能性が頭をよぎったというのも大きかったです。
よく「立場が人を作る」なんていいますが、公務員という立場は本当に人を変えるんだなと思いました (笑)

一方、公務員であることの最大のメリットはというと、身分が保障されているということです。重大な法令違反でも起こさない限り、辞めさせられることはありません。「ルールをきちんと守りなさい。それであなたの身分は保障されるのですよ」(魔女のささやき)という感じでしょうか。

服務を何の違和感もなく自然体で遂行できる人は公務員向きだと思います。自分は・・ちょっと違ったかな(小さい声)

「安定」を求めて公務員を目指す人も多いと思いますが、そもそも「安定した仕事」というものに魅力を感じない人にとっては、公務員の服務という概念は「縛り」に感じられることがあるかもしれません。

ちなみに私が校長を辞めた最大の理由は、営利企業に従事することが制限されることでした。教育委員会は目指す学校像として「起業家精神の育成」を定めているのですが、自分にとってのビジネスの波が目の前にきているのに、服務規程のためにそれに乗ることができないのは大きなジレンマでした。両立できないとなれば、どちらかを選ばざるを得ません。

余談ですが、教員が公務員であることが、教育現場が変わらない要因の一つだと考えています。この辺りのことは後でまとめて書きたいと思います。

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