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“旅行”という共通体験が映し出す仲間の姿

※この記事は過去にシン・エナジーの公式ブログ「ミラトモ!」に公開された2018年11月の記事の再掲です。内容はすべて当時のものです

「社員旅行」というと日本の高度成長期の遺物のようなイメージを持つ人もいるかもしれない。シン・エナジーという会社は設立が1996年という若い会社だが、2010年に「社員旅行」を実施してから、2年に1度の間隔で社員旅行を続けている。2010年と2012年が沖縄、2014年が宮崎県霧島地域、2016年が静岡、そして今年(編註・2018年)は研修という言葉を間に入れて「社員研修旅行」という名称で宮崎県を訪れた。
研修旅行が開催されたのは10月19日(金)-20日(土)。神戸市の本社、東京支店、そして九州、南九州、沖縄、小浜(長崎県雲仙市)、仙台にある営業所と出張所を含めた7拠点から、役員・社員170人のうち都合がつかない人を除く130人が参加した。

各地の飛行場から宮崎空港に集合。ここを起点にまず都城市の霧島酒造を訪れ、焼酎の生産される過程と、焼酎粕と芋クズから生成したメタン発酵ガスで発電する施設を見学した。当社にとってすでに始めている木質バイオマス発電とともに、このメタン発酵ガス発電も眠れる地域資源の活用策として今後進出を考えている分野だ。

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■霧島酒造バイオガス発電所見学の様子

そこから車で1時間ほど離れた串間市にある「大生(おおばえ)黒潮発電所」の見学がこの日一番の行事だ。この発電所は地元企業と共に建設したもので、出力は1940kWの小型バイオマス発電所で、竣工は今年3月。
海外からの輸入木材は一切使わずに地元産の未利用木材だけを使って発電し、副生産される熱も有効利用する優れモノだ。地元木材を使えば地元にその代金が支払われるから地域経済が活性化し、間伐を通して森林環境も改善する。
大手電力会社の火力発電所と比べれば出力は何百分の一、何千分の一という大きさかもしれないが、総工費約27億円を掛けたこの発電所はやはり立派で、力強さを感じる。丸太が「ゴローン、ゴローン」と音をたてながら機械で樹皮を剥かれていく様子を見ているうちに、海外から石油を買ってこなくてもこんなに素晴らしい資源が日本にはあるのだと肌で感じる。

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■大生黒潮発電所の外観(上)と樹皮を剥がす“バーカー”(下)

翌20日のメーンイベントはTED(Technology Entertainment Design)と呼ぶスーパープレゼンテーション。今回は「働きがい」などをテーマに自分の考えを8分間の中で表現する。職場を九つに分け、各グループの選抜者が壇上に上がった。「折角つかんだ客を、大手電力会社が奪還に来た時どうしたらいいのか」、「電力の仕入れはクリックを一つ間違えれば何十万、何百万円という損害を会社に与えかねず、重圧を感じている。ボジティブに働くにはどうしたらいいのか」など日常の切実な問題を訴えかけた。

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出色だったのは発電所作りに携わる20代社員のMさん。「私たちは1日に数回構内の巡回を行う。道に落ちている釘やビス一つが大きな事故に結びつく可能性だってあるからだ。炎天下でも長そでの作業服を着ているのは焼けた金属にふと触れてしまって、火傷などしないためだ。そんな気遣いを一日中してくたくたになるが、発電所が無事完成して施主様から『ありがとう』と言われたとき、今までの苦労がすべて報われた気がして心から喜びが湧いてきた」。仕事に対する強い責任感が胸に刺さる。
研修旅行という共通の体験を通して、職場の仲間たちの日々の苦悩や喜び、様々な思いを直接感じた。

(2018/11/6 シン・エナジー広報/元日本経済新聞記者 府川浩・記)