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法人営業のマネージャーになってまず読んでみた書籍 vol.1

1月から、法人営業グループのマネージャーになったが…

toB向けSaaSの売上責任を6名(2月から7名)のメンバーとともに背負うこととなった。
やる気には満ち溢れていたが、正直不安しか無かった。
昨年まで自分を見てくれていたマネージャーは年末に退職したため、マネージャーとしての振る舞いを間近で見て学ぶことは難しい状況である。
(強いて言えばどのように振る舞っていたかを日々につけ思い返す程度である)
また、緊急事態宣言が再度発令されてからは原則リモートワークとなっているため、日頃のコミュニケーションの取り方も相当工夫しなければならない。
どうすればグループを引っ張れるのか、とりあえずもがくしか無いのか。

そうだ、本を読もう。

指針が欲しかった私は、マネージャーとしての立ち振る舞いで参考になりそうな書籍を読み漁ってみることにした。
守破離の「守」の元になる情報が欲しくてしょうがなかったのである。
こういう時に頼りにしているのはいつも先人たちの知恵である。
※どこで読んだかは忘れたが、課題に直面した時はその課題に関連するテーマの本を何冊か買って読むと良いと聞いてからはそうするようにしている。

ここでは、自分の備忘録も兼ねて読んだ本の概要と感想、そして自分が活かしてみたポイントをご紹介していきたいと思う。

その1:マネジャーの最も大切な仕事 ~95%の人が見過ごす小さな進捗の力~


<概要>

マネジャーにとって最も大切なのは、「チームや部下にとってやりがいのある仕事が、毎日少しでも進捗するよう支援する」ことである。
誰もが知っている「進捗」の大切さを実はほとんどの人が見過ごしているが、進捗の支援ほどマネジャーにとって大切な仕事はない。
進捗の支援が、社員ひとりひとりの豊かなインナーライフワーク(個人的職務体験)を作り上げる。
インナーライフワークを支援するのは、「やりがいのある仕事の進捗」「触媒ファクター(仕事を直接支援する出来事)」「栄養ファクター(その仕事を行う人の心を奮い立たせる対人関係上の出来事)」である。
一方、インナーライフワークを暗転させるのは「仕事における障害」「阻害ファクター(仕事を直接妨げる出来事)」「毒素ファクター(その仕事を行う人の心を蝕む対人関係上の出来事)」である。


<感想>

イーロン・マスクが『Zero to One』で語った、「賛成する人がほとんどいない、大切な真実は何だろう」という内容に少し近しいものを感じた。
本当は大切(と分かっているはず)なのに、大切だと認識されていないもの、という表現の方が適切だろうか。
※現に、この本の中でも調査対象となったマネジャーたちは「進捗をサポートすること」をモチベーション向上要因として最下位にランク付けしている。

確かに、毎日部下に気を配りながら仕事の進捗(アポイントが○件取れた、お客様に対して無事にヒアリング出来た、お客様に提案を納得してもらえた etc...)を支援するのは相当にハードである。
だからこそマネジャーたちはその確認を週次のMTGや月次のグループ会で済ましてしまいそうなものだが、「組織における中心は『人』である」と前提を捉え直すと、進捗を支援することで自己効力感が高まり、それがポジティブな感情につながり、モチベーションの源泉となっていることに気付く。

何より、上司が自分の仕事を気にかけてくれているという感覚は単なるコミュニケーション以上の意味を持ち得るのであろうと、自分のメンバー時代の経験に照らし合わせて見た時に不思議な納得感が得られた。


<実際に活かしているポイント>

この本を読んで、まずは「日常」をとにかく大切にしようという意識が高まった。

目標に対して重要度の高い案件の進捗支援はもちろんのこと、目標達成の枷となる雑務はアラートを上げてもらいながら障害にならないよう気を配る。
すると、ある程度見てもらえている実感がメンバーからも得られたのか、「積極的な相談が増える」→「その相談に乗ることで案件が進捗する」という好循環がもたらされつつある。

リモートワークの比率が高まった昨今においては、パワーこそ必要ではあるがチームが一体感を持って職務遂行に当たるための非常に大きな武器になると確信したので、出来る範囲で継続していこうと思う。

その2:テレワーク環境でも成果を出すチームコミュニケーションの教科書


<概要>

テレワーク環境下においては、これまで以上にコミュニケーション設計が重要になる。
その中にあって、成果を出すチームという観点で最も大切な要素は「心理的安全性」の担保である。
テレワークにおいてはコミュニケーションを意識的に作る必要がある。
特に日本人は「ハイコンテクスト」な文化なので、テレワーク適応においては発信と反応を通じて「ローコンテクスト」なやり取りを身につける必要がある。

活用出来るトピックとしては、以下が挙げられる。
・各種Webサービス(チャット/会議/ドキュメント etc...)の活用
・チームビルディングのための取り組み
・スムーズな業務のためのITリテラシー向上Tips
・オンライン会議の生産性を上げるための工夫
・評価/育成に欠かせない取り組み

<感想>

昨年からのコロナ禍におけるリモートワークの発展は、個人にとっては朗報だが管理側にとっては災難だとさえ思う。

昨年末にマネージャーの着任が決まってからまず頭をよぎったのもそこで、成果を出す以前にどのように協調を図りチームとしての一体感を醸成していけばいいのか悩んだ挙句の課題意識で書店で手に取ったのがこの本である。
※書籍名がどストライクであった。ターゲット選定はきっと合っていたのだろう。

この本を読んで感じたのは、リモート環境を逆手に取ることでコミュニケーション量はむしろ増加させることが出来るということ。
そして、テキストでのやり取りが増えることにより相手に誤解を与えない発信を練習する機会が増すため、お客様に向けてのコミュニケーションスキルを習得するスピードも早まる副次的効果はありそうである。
※現時点で、確実にお客様に対するメンバーのメールコミュニケーションのスキルがアップする土壌を作れていると感じる。

対面でのコミュニケーションが取りづらくなったことにより、より仕事に段取り力が求められるようになったのだなと改めて実感することになったのがこの書籍である。

<実際に活かしているポイント>

取り入れてみたのは2点。
①自己トリセツ(取扱説明書)の共有
②オンライン朝会の実施
③分報の活用(Slack)

①については、各々が異なる人間であり、リモート環境下においても互いを尊重するという意識を育むために実施した。
やってみると、各々の好きなコミュニケーションスタイルや生活リズムがあり、今後心に留めておこうという発見が多々あった。
また、こういった共有を実施することで、自己開示を促進出来る効果もあるらしい。

(下記は実際に共有した自分のトリセツ)

私のトリセツ

②については、リモート環境下特有の「話す機会の減少」を意識的に解決する場として1月から取り組み始めた。
毎日30分、始業前に実施をしていて、雑談を挟みながらその日の自分の行動共有や相談の場として活用している。
やはり自宅で一人で働くとそもそも声を出す機会が少なく、「朝から会話することで仕事モードに切り替わる」という意見もメンバーからもらったりしている。

(下記は毎日実施している朝会でのワンシーン)

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③については、「オフィスにいないことによって状況確認や業務中の様子が分かりづらい」といった課題感の解決のために取り入れた。
意識的に自分の発信をしてもらうことを通じて、自分の中での思考の整理や反応をもらうことでの帰属意識の担保を目的としている。
また、若手メンバーには一日の業務終了時にその日の学びを記載してもらうことで、一日の中であった出来事についてもある程度推し量れるのと、記載してもらった学びに紐付けてコメントすることが出来るので重宝している。
※個人チャンネルを作ることによって、グループのメンバー以外も入ってコメントしてくれるのは思わぬメリットでありすごくありがたい部分である。

(下記はあるメンバーの分報の抜粋)

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また、感じたこととしては、若手メンバーの方がチャットツールを活用したコミュニケーションにも慣れているため、適応が早い。マジで早い。
若手メンバーに積極的に活用を促すことによって、グループ全体としての活用も進むという好循環を引き起こせると感じた。

その3:無敗営業 チーム戦略


<概要>

強いチームには、オセロの「四つ角」とも言うべき共通項が存在している。
①勝ちパターンを作る
②活動の実態を「見える化」する
③人が育つ仕組みを作る
④コミュニケーションのバランスを整える
上記を順番に形作っていくことで、「勝ちパターンを信じて全員で実行しきれる安定感のある組織」が作り出される。


<感想>

みんな大好き高橋浩一先生の「赤本」と呼ばれている無敗営業シリーズ2作目。
「青本」と呼ばれている1作目が個人としての営業力に焦点を当てた書籍になっている一方で、「赤本」は強いチームづくりに焦点が当たっている。

高橋さんの本で一番特徴的なのは、「圧倒的な具体性」。
概要にその辺りを書き出すと概要では無くなってしまうので止めたが、私と同じような課題感を感じている方はぜひ本書を手にとってみてほしい。

個人的には、書籍中でも度々出てくる、TORiX社で独自に取得されているアンケート調査の設問の視点をそのまま日頃の実務に持ち込むだけでお客様やメンバーとのコミュニケーションが変わるなと感じている。


<実際に活かしているポイント>

まずは、「①勝ちパターンを作る」ことを行うべく、受注要因/失注要因を可視化することから始めている。
具体的には、案件の決着タイミングで、(アナログだが)営業担当からアンケートフォームをお送りするようにした。
(以下は実際の回答内容の一部)

キャプチャ


受注時であれば期待が高まっているタイミングなので書いてもらいやすく、失注時においても提案を受けながらお断りする後ろめたさも感じていただけているのか書いてもらいやすい。
これを取得することで、自社がお客様から実際にどのような評価を受けているのかを実データとして貯めていき、今後の営業活動に転用していく予定である。

あとは、「ATMダッシュボード」。
ありがたいことに、書籍内でレイアウト含めてイメージ図を共有いただいているので、ほぼ丸パクリ(w)のような形で作成をし、日々確認しながらメンバーへの指示やアクションへの落とし込みを行っている。
特に役立つのが「A(alert)」のダッシュボードで、ネクストアクションが未定となっていそうな商談やフェーズ更新が滞留している商談、見込み金額入力漏れの商談などは放っておくとマネジメントの精度を落としかねないので、非常に重宝している。(自分自身がマネージャーとしてどのような形で情報を見ていけばいいのか定まっていなかったので、非常に助かった。)

高橋さんも、「チームリーダーの方はマネジメントのPDCAを回す際の教科書としてお手元に置いておき、日々『読んで実践して、また読む』を繰り返していただくのがお勧めです」と書籍内で言ってくださっているので、今後も有難くその通りにしようかなと思う。笑

終わりに

本に限らずであるが、ビジネスにおいては「アウトプットが前提でないインプットはゴミカス」なので、実際に活かそうと思うポイントは最低一つは作ることにしている。
合うなら取り入れるし、合わないならそれまでだと思うようにしている。
ただ、この考えが読書時の吸収率を高めてはくれていると思う。
※これは、一番最初に営業になった際の当時の上司に教わった。

他にも色々読みながら実務に落とせるものを探っている最中なので、折を見ながら今後も紹介していきたいと思う。

つらつらと書いてしまったが、お読みくださった方、ありがとうございました。

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