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旅文具 〜現代矢立の筆記具〜

日本で旅の大先輩といえば、松尾芭蕉、
『奥の細道』出発に際する序文よろしく、

「日々旅にして 、旅を栖とす。」
とまではいかずとも、
「そヾろ神の物につきて心をくるはせ、道祖神のまねきにあひて取もの手につかず」
の心境は、私にもあります。

観光ではない、旅の道行を旨とし、
異郷の土地と歴史を語りながら、現代の矢立である筆記具とノートを胸に、琴を抱えて、
道々、情景から浮かぶ詩歌を書き留め、調べを唇に、風のねに琴を爪弾きつつ、旅に暮らしたい。
…なんて、夢見続けています。
(ちなみに私、旅に出る前の芭蕉が棲んでいた、深川芭蕉庵を記念した資料館で働いていたことがあります。多くの俳人や旅人が日々訪れました)

さて、書くことが好きな文人詩歌人にとり、
旅といえば、今も昔も必携なのが、矢立と帳面…すなわち、見聞記録のための筆記用具とノートの一式。

私はかつては、ノートサイズのモレスキンを小脇に抱え、いつでもどこでも開いて書ける態勢で、
ポケットやサイドバッグに、これだけは手放せないお気に入り筆記具を装備するのが、フィールドワーク・スタイルでした。

…が、
近年、琴を持ち旅先で心のままに奏でることを喜びとするようになってからは、大荷物のリュックがその一式で占拠され、
手持ちバッグやサイドバッグに入れるものも多くはできず、かさばるものを持てないので、
ノートはトラベラーズのパスポートサイズ(出先では革カバーなしで)か、薄くて表紙も硬く、すぐ取り出せる野帳が最適。
ペンは、どんな体勢でも書けるLAMYの万年筆と、カランダッシュのシャープペンシルに留めています。
(ボールペンは、寒さ暑さに左右されるし、不安定な状態で書いて何度も書けなくしているので、持たなくなりました)

それにもともと、お上品でオシャレとは無縁な、時に野性的なフィールドワークもあり得る旅では(琴を持ってからは、さすがに無茶はしませんが)、万一の破損や紛失・盗難を恐れて、持ち歩けなくなりました。

しかし、それでもやっぱり、感性が全開になる旅に、お気に入りの記録用一式は欠かせない。
持ち歩かないというだけで、主要筆記具は宿に留め置いて、帰宿後に記録をまとめるために使うようにしており、旅の相棒であることには変わりありません。
(食事休憩も取れないくらい、時間を惜しむので、出先でじっくり書いてるいとまもないし)

筆記具関係は、書くことが好きなのにあいまって、コレクションまではしないながら、
一時期、心惹かれると、それなりの万年筆も入手・愛用し、
ボールペンなども書き味が気に入ると何本もローテーションで持ち歩き、
シャープペンシルは、ボールペン以上に厳選していますが、
ある時期に蒐集は落ち着いて、
今は、実用的に最も使い勝手のいい、これら↓を常備愛用しています。

ラインナップ

旅のみならず、これらは日頃の定番愛用筆記具。

★写真右の多色ボールペンは、先日の旅で得た、
近鉄特急ひのとりのグッズなので、新顔なのですが、
土産物系の記念ボールペンとはいえ、しっかりジェットストリームの実用品で、書き味も抜群なのが、いい!
このボディカラーはやる気と集中力をかき立てるし、何しろ“火の鳥”のイメージ的に、
心を燃やし時空を超えてゆけ!みたいな、
旅心に駆り立てられ、持ってるだけでも嬉しくなるし、早くもお気に入りの一式に仲間入り。

しっかり4+1なのが最高!近鉄さんセンスいい🥰
下は旅野帳。史跡探査には古墳デザインが最適♪

★お隣のプラチナ3776の万年筆は、

赤いペンケースにぴったり収まる3本

それぞれボディに合わせたプラチナ顔料インク、
ブルーブラック・フォレストブラック・カシスブラックが入っています。
どれも好きな色なので、ペンとインクがちょうど合わせよかったラインナップ。
これで書いている時の至福感といったら…

万年筆は、翻刻原稿の仕事などでもいろいろ使ってきて、
結局、舶来ブランドのペン先の太さではなく、
日本製の細字〜極細字のニブが、縦書き原稿と旧漢字の細かさに最もいいと、結論づきました。

近年はパソコン社会でもあって、海外の万年筆はアクセサリー感覚になっており、筆記もサインくらいしか使わないし、
実際の書き味にこだわりが深いユーザーが多く、細かな職人技が光るのは、日本の万年筆がピカイチだそうです。

また、モレスキンの紙は万年筆が滲むと言われますが、プラチナの顔料インクで細字書きなら、まったく裏抜けもなくて快適。
他社の、ブレンド可の国産インクは、細字でも裏抜けするほど滲みます。

★そして、唯一無二の定番、モレスキン・ポケットノートに差し込んでいるのは、

私のカランダッシュオールスター✨️

まず右のペン差しにLAMYの万年筆。これはモレスキンと最高に相性がいい。
舶来万年筆でも、LAMYの細字とインクは、私にはちょうどいい太さと粘度で、
モレスキンでも滲まず、ほどよくインクが乗って筆圧なくスラスラ軽く書けるので、
アウトドアでも立ち仕事でも、かしこまらずに使えるこの万年筆が重宝しています。

前面のペン差しカバーには、カランダッシュのオンパレード。
右から、パープルインク、シャープペンシル、ブルーインク、レッドインク、グリーンインク、ブラックインクを、
ボディカラーでイメージしやすく入れてあります。
シャープペンシルは0.7mmで、芯がシャープすぎず、太すぎず、どんなロケーションでも書きやすい。

カランダッシュとは二十年以上のつきあい。
最初は、緑のインクで手紙を書くのが好きなので、グリーンを入手したのですが、
書き味が気に入って、次にブルーを。このペンは、電車などで落として紛失しても、何度も戻ってきてくれたツワモノ。愛着もひとしおです。
その後、当時の仕事で使いたくてレッドを。
ここまで揃ったらと思い、続けてブラックを。

ボールペンで書いていながら、色鉛筆とかクーピーで書いているみたいな粘質な書き味が、
軽快ではないものの、硬質とまではいかぬ、ほどよくクリエイティブ心を誘う感じ。じっくり手書きには、このくらいの書き味の重さが、ボールペンでもちょうどいい。

さらにカランダッシュのインク色は、他の既存の多色ボールペンとは異なる、微妙な味わいのある色彩で、これもクリエイティブ魂を揺さぶる。イラストが描けたら楽しいだろうなと思います…描けないけれど。
それゆえ、個人的な趣味嗜好での執筆は、カランダッシュに限るくらい愛用しています。

ちなみに、軽快に速記する場合には、国産のボールペンのほうが向いていますが、そうした滑りのいいボールペンだと、個性的な字(つまりクセ字)の私は、よけいに下手にしか書けないから、メモを急いで書き留める時にしか使えないのです。
でも、前出のひのとりのような普通の4+1の多色ボールペンもやっぱり好きで、仕事ではこちらをポケットに挿しています。
(パイロットとぺんてるが好き)

つい最近になって、カランダッシュボールペンには、パープルとかアクアブルーのようなインクもあると知り、
紫にまつわるものが、ちょうど欲しいところだったので、
写真1番右の紫のカランダッシュは、
先日、フィールドワークの際、自分誕生日プレゼントに、旅先の京都駅伊勢丹内の伊東屋さんで、記念に奮発して購入した新顔です。
これもボールペンとは思えない絶妙なインク色で、嗜好だけでなく、ブラック同様、主色筆記に使っています。
これで旅手紙を書くのもいいな♪

ただ…あとで(実はついさっき)、誕生月なら割引になるクーポンがあったんだ…と気がついて、
誕生日なのに普通に買ってしまい、ほぞを噛んでいるところであります😞
いろんな意味で一生忘れない記念になってしまった。

また、これらを抱えて旅したいなぁ…
琴と共に、心が歌い、ペンが奏でる思索の旅に、身を沈めたい。


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