見てしまったもの
それは何だったか
海辺に寄り添わせた 2つのバッグか
雨に滲んだ夜の街に 浮かび上がらせる影か
枯らすまで大切にしたという 証の花か
あぁ あれだろう
シーツの上で極端に滲ませた 光の数々
影の交わり
終わりを終わらせたくなくて
過去を未だにもがくあの子は
何度も手を伸ばして つぶやいている
『まだここにいるよ』と
『手をとってほしい』と
過去を過去にできずに
痛々しく
可哀想に
君とあいつで 実った恋は
あまりにも2人の世界に溺れすぎた
あの子の想いを
背負ってしまったまま
実らせてしまった恋だった
だからもう
きっとこの恋の実は
落ちて潰れてしまうんだよと
ツバメとガンが呟いていた
幻想的な森の奥
2羽の鳥が 鏡に浮かぶこの池で
それは
偶然 ぼくが見てしまったもの
君にも あいつにも あの子にも
同情なんてしないけど
たぶん大丈夫だよと
皆に言ってあげたい
だってそう
“始まりは終わりのはじまり”
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?