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はじめましての美容室でパーマをお願いしてみる。

ところ変われば品変わる。
気持ち変われば美容室も変わる。

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「美容師との関係が面倒だから、ずーっといろんな美容室を転々としている」という稀有な友人がいたが、大抵の方はお気に入りの美容師さん、行きつけの美容室があることだろう。

田舎から上京して6年目、私も長いこと同じ美容室のお世話になっているのだが、先日初めて違う美容室に突撃してみた。別にただ髪を切るだけなのに、なぜか驚くほどにココロ、ドキドキ。それは小学生時代に職員室の扉をノックするときのような、欲しいゲームの名前を母親に伝えるときのような、何も悪いことはしていないのに、説明しがたい罪悪感とおぼつかない浮遊感が混在したような感覚である。

最近の私はちょっと心が疲れ気味である。気の知れた友人とパーッと明るく笑い飛ばすには元気が足りないし、自然に囲まれてぼーっとするほどには病んでいない。それならば、気分転換に少し髪型でも変えようかと思ったのだが、行きつけの美容室ではなく、これまでの私を何も知らない、まっさらな場所でお願いしてみたくなった。

都内でも有数のおしゃれタウンの一角。都会の美容室らしく、雑居ビルの3階にひっそりと構える初舞台。初めて訪れる街で、Googleマップ片手にウロウロする時間だけでも、十分な気分転換になり得たが、あくまでも目的は美容室。行きつけのオーナーの顔がちらちらと頭に浮かびながらも、今日はこんな気分なんだ!と、ちょっとのわがままを武器に、アンティーク調のドアノブに手をかける。

知らない香り。慣れない段差。はじめましての人々。
たかが美容室、されど美容室。
「カットとパーマで予約してました、カタヤナギです。」小さめの声で伺うと、昔からの友達かと錯覚を起こすほど明るい声で、どうぞ!と案内される。接客業に対する尊敬の眼差し。知らない土地で、知らない人々、でも、なかなか良い心地である。

2~3時間の施術を終え、無事帰宅。
鏡に映るまだ見慣れない髪型。ちょこっと前髪をいじってみるだけでも、なんだかたのしい。

日々の生活の中で、ちょっといつもと違うことをしてみるだけでも、個人にとってそれは大きな冒険である。こんな日も、たまには。


#わたしのチャレンジ

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