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梅雨入りまでの最高な陽気を、誰よりも楽しんでいる自信がある。

アイ ヘイト 梅雨。
それくらい強めの口調で言っても差し支えないくらいに、わたしは梅雨が好きではない。梅雨を越えた先の夏の季節は大好きなくせに、その手前にそびえ立つ忌まわしき関門だけは何年経っても好きになれないでいる。

だがそんな梅雨を前に、日本の四季というのはささやかな贈り物をしてくれるのもまた事実。
春を終え、ゴールデンウィークを過ぎ、梅雨入りを迎えるまでの僅かな期間。この期間だけは格別に過ごしやすい気候に設定されていると、皆もそうは思わないだろうか?

わたしが1年で最も好きな季節、それは梅雨入り前の6月。まさに今、この瞬間。
アイ ラヴ 梅雨入り前の6月2週目くらい。そういう話だ。


***

高校時代は、この季節に教室の窓を開けて、揺れるカーテンを横目にぼーっと校庭の先を走る車を眺めるのが好きだった。

大学時代は、午前中の授業を終え、人の居ないキャンパス内のベンチでうたた寝したり、パピコを片手に下宿先近くの長い坂道をゆっくり歩くのが醍醐味だった。

しかし社会人ともなると、そう簡単に「天気がいいから」を理由にオフィスを抜け出すことはできない。(当たり前)
許された時間は、昼休憩の1時間。この1時間をいかに最高のコンディションで迎えるかが、間もなく到来するであろう梅雨を乗り切る鍵となっているわけなのだ。


わたしの高校・大学時代の優雅な過ごし方を踏まえると、
この限られた季節を堪能するために必要な条件は
・直射日光を避けた風通しの良い場所であること
・何かを食していても大丈夫な場所であること
・そして何かをぼーっと眺めていられる対象物があること と言える。

昔から「誰も知らない穴場スポット」を見つけることは得意だったので、昼休憩の1時間で行って帰って来られるべスポジを見つけ出すこと自体は、さほど苦ではない。さらに「屋外」という場所に限定すれば、ごはんを食べることが規制されることもほぼほぼ無い。
しかし意外にも難しいのは「何かをぼーっと眺めていられる対象物があること」、この条件である。

どんなに風通しの良い場所でも、目の前が無機質なコンクリートの壁では風情がない。かといってフードコートのような、わちゃわちゃと見るべきものが多すぎる場所も、全くもって好みではない。
向こうがこちら側を気にせず、またこちらも向こう側を気にしなくていい距離感の"何か"。それがベストなのである。


そんなわけで、最近はいくつかの場所を転々としながら、わたしだけのベストスポットを捜し歩く昼休憩を送っていたのだが、この数日はある1つの場所に定まっていることを、ここに報告しておこう。
誰に教えるわけではないし、そもそも聞かれることがないから答える必要もないけれど、いまとても良いスポットを見つけたのだ。

ぱたぱたと前髪が優しく額に当たるくらいの心地よい風と、ちょっと眩しいくらいの陽の光。その日の気分の惣菜パンとコーヒーを持って、とある対象物がずーっと同じような動きを繰り返しているのを、ぼーっと眺める昼間の12時25分。んん、この贅沢を知っているのはわたしだけだなと、ちょっと得意げになってみたりしている。

そして何よりこの場所が気に入ったのは、このあと梅雨になって、しとしとと雨が降り始めると、おそらく立ち入ることができなくなるという条件付きであるところだ。

今日のこの贅沢は、今日だけのものなんだね、と、そう思えば一段と深みが増す。ただのコンビニ飯も、いつもの2倍増しで美味しく感じる。

そんな風にして、わたしは梅雨入りまでの最高な陽気を、誰よりも楽しんでいる自信があるのだ。



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