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映画は音楽によって映画となる。

新年明けましておめでとうございます。(今更)
2020年だなんて、未来の話かと思っていましたが、案外普通にやって来るもんだなと拍子抜けしてしまいそうな 「めとろ」です。

突然ですが、私は現在学生の身分。それ故に、今月は試験に追われる日々を過ごすわけですが、そうは言ってもせいぜい2〜3週間の話。受験生の皆さんには申し訳ないほど、怠惰な生活を送っています。

受験と言えば、そんな私にもそう遠くない過去、受験生の時代がありました。幸か不幸か、私は受験というものにあまり縁がなく(自ら避けていたという方が正しいかもしれないが)、世間一般的な受験戦争とやらに身ひとつで立ち向かった経験がありません。それでも多少は受験生らしく、カロリーメイト片手に自習室に向かったり、電車の中で単語帳を開いたり、なんてことは経験させていただきました。そして短い期間ではありましたが、大好きな"映画断ち"なんてことも。
その当時公開されていた映画は、未だに鑑賞できていないものがたくさんありますが、この年末、ずっと観たかった1作をようやく観ることができました。

前置きが長くなりました。
今回の映画はこちら…

'SCORE: A Film Music Documentary'
(すばらしき映画音楽たち)

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皆さんは映画におけるスコアってどれくらい気にしたことがありますか?
要は歌のない音楽。BGM的な役割を担うもの。サウンドトラックとも言われますね。

そんなのマニアしか気にしないって…って思うかもしれませんが、ロッキーのテーマ、ジョーズのテーマ、スターウォーズのテーマ、と聞いてなんとなーく知ってませんか?
スコアはそうして映画、さらには現実世界を通して我々の記憶に残る名曲として刷り込まれていく芸術なのです!(無理やり)

本作は、そんな'スコア'='映画音楽'について、多くの作曲家たちがとことん熱く、美しく語るドキュメンタリー映画。

出演はみな、ハリウッド界の一線で活躍する天才たち。しかし天才とは言え、彼らも我々と同じ人間であり、悩み、苦しみ、締め切りに追われる、という一面が見られるのがこの映画の醍醐味なんですね。

彼らの奮闘は、並々ならぬ探究心と好奇心から生まれている。名曲をゼロから創り出すその姿は、これからの私たちの映画体験に少なからず影響を与えるといっても過言ではない。決して表には出ないが、その映画のアクセントとして、いや、顔として、奏でられる名曲。本作を観たか観ていないかで、映画のストーリーだけではない、その曲の裏に潜むストーリーを想像できるように、きっと変わってくることと思います。


本作のポイントは、検証を通して映画音楽の凄さを伝えてくれること。科学的、感覚的、あらゆる視点からスコアの奥深さを教えてくれます。
音楽を聴いた我々の脳・・・
楽器の種類による印象・・・
スコアの有無による作品の印象・・・
なるほど面白い!と思うこと間違いなし。

その中でも、印象的な台詞として「発想なんて都合よくは生まれない。だから常に恐怖と戦っているんだ。」と語る場面があります。
名作曲家、ハンス・ジマー(代表作にパイレーツ・オブ・カリビアン, ダークナイト などなど)が言うからまた驚き。何度も言うようですが、本作は決して天才たちが天才故の雲の上の話をする作品ではないのです。

「彼らは天才ではなく、プロである。」

そんな風に教えてくれる作品だと、私はそう感じます。
だからこそ、私たちの心に訴える映画音楽を生み出すことができるのだろうな、と。とはいえ、誰にでも成せる業でないことは言うまでもなく。その技術とセンス、感覚、挑戦力、言葉で言うのは簡単ですが、ありとあらゆる力がプロの領域。まったく惚れ惚れしてしまうよ。

この世に存在する、数多くの"素晴らしき映画音楽たち"は、そんなプロの業によって生み出される芸術品。彼らの言葉からは、何も大層なことをやっているという雰囲気は感じられず、あくまでも分業の中のひとつの作業、といった様子。多くの作曲家たちに対し、親近感と尊敬が入り混じる、なんとも不思議な感覚に陥ります。


それにしても映画は、そんな多種多様な業を持ったプロたちが一同に集結して創る、現代の贅沢すぎる芸術と言えはしないだろうか。(やかましい)
本作を観てから観る映画は、より味わい深く、新たな発見の手掛かりとなるはずです。音楽に興味のある方、映画をもっと楽しみたい方、2時間くらいの時間潰しをしたいという方、今ならAmazonプライムでも観れるらしいので、ぜひいかがでしょうか?


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