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レ・クレドールってなんじゃらほい(トリセツ)

これまで延々とレ・クレドールの歴史とか資格とかを書いてきたけど、みなさま、つまりゲストがわれわれを使ってくれなければ存在意義がありません。ということで、コンシェルジュの取扱説明書!

何を聞けばいいの?

テレビやほかのメディアなどでコンシェルジュという仕事について取り上げられるようになってきました。もちろんそれは有難いのですが、どうも、ちょっと大げさ…というか、一番華やかな部分を取り上げている傾向があるような気がします。「不可能を可能にする人たち」みたいな紹介で。

こんなのを見つけました。まあこれは無理難題…でもないかなあ。

それは間違っていないのだが、もしかしたら、「普通のゲストの、普通のゲストによる、普通のゲストのための質問」なんてしてはいけないのかなあ?と思う人も出てしまうかも。
特に日本人は、他人にものを訪ねるのが苦手というか、「こんなこと聞いていいんかいな?」とためらう傾向があるようなので…。

結論から言うと、何を聞いてもいいんです。だって、そのホテルを利用しているのなら、我々コンシェルジュを利用する料金もあなたが支払った金額に含まれています。何か聞きたいことや疑問があれば、聞かなきゃ損です!

よくありますが、ゲストがすでに行ったレストランや、アクティビティの話をしてくれて、「あー、それを事前に聞いてくれればもっと良いオプションを伝えることができたのに!」と思うことがあります。みなさん、限られた時間を使って旅行をしたりしているわけ出るから、こちらとしては最大限効果的な経験をしてほしいんですよね。

もっといえば、例えば外国で困ったことに遭遇し、どうしよう?っていうシチュエーションになってしまったら、最寄りのホテルを探し、金の鍵をつけている人を探してください。もちろん、めちゃくちゃ忙しかったら話は別かもしれませんし、「実はここのホテルに泊まっているのではないんですが…」といった礼儀は必要ですが、われわれは、problem solverなので、絶対何かしら助けてくれるはずです。こんなことを書いてしまうと、「仕事を増やさないで~!」と、他のコンシェルジュに怒られそうですが、まあいいや。
私も何回か、質問を受けて色々応え、レストランやツアーを紹介して、「で、お部屋番号は…?」と聞いたら、「あ、泊まっていないんです」と言われ、「早うそれを言わんか~!」と思う時があった。でも、「この人が私のおすすめを聞いてくれて、その結果シドニーを楽しんでもらえばいいか」って思う、本気で。
コンシェルジュって、直接ホテルの売り上げに貢献しているわけではないので、ちょっとボランティアみたいな役目もあると思います。

上手なリクエストのしかた

良くコンシェルジュ仲間で言うジョークがあるんだけど、


ゲスト:「いいレストラン紹介して!」
コンシェルジュ:「もちろんです。どういったレストランをご希望ですか?」
ゲスト:「あ~、なんでもいいよ」
コンシェルジュ:「かしこまりました、それでは、角にあるアメリカンレストランはいかがでしょう…名前ですか?マクドナルドと言いますが…」
ゲスト:「は、何言ってんの?いいレストラン、て言ったじゃん!」
コンシェルジュ:「私の基準ではいいレストランですが、何か?」

ええ、分かります。特に何料理、というイメージがわかず、なんか美味しいもの食べたいなあ…っていう時ってありますよね。

でも、人はそれぞれ。どこから来たか、普段食べてるもの、ソロトラベラーか家族連れ…み「いいレストラン」の基準が違います。
我々は、ゲストの容姿やバックグラウンドなどを観察して、「この人ならこんなレストランが好きだろうなあ…」と推測しておすすめレストランを決めるのですが、ゲストがもっとはっきりと自分の希望を伝えてくれると、誤差が無くなるので、あなたにピッタリのレストランを選べる確率が上がります。

たま~に、ホテル通なのか知りませんが、「コンシェルジュだろ~、レ・クレドールだろ?何とかしろよ」というゲストがいますが、それは禁句です。レストランが本当に満席なら満席ですし、人生と同じで世の中にはどうしてもできないことは存在するのです。
ただ、我々はそういう時に備えて、プランBをいつも用意しています。なので、あなたがネームバリューのためだけに、特定のレストランに行きたいといった場合は別として、必ず楽しめる場所を見つけてくれるはずです。

チップですか?国によって違いますが、オーストラリアの場合は必要ないです。ただ、本当にいいサービスを提供されたら、お礼として渡してもいいですね。コーヒーなり、ランチを買う際に有り難く使わせていただきます。
でも、一番喜ばれるのは、ホテルのアンケートや、レビューサイトにコメントすることです。私の経験から言っても、これが一番うれしい。

これは文句でも何でもないのですが、全般的に日本人はあまりサービススタッフをほめませんね。良いことをしたスタッフがいたらどんどんほめてやってください、好循環が始まります。

それから、あらかじめ予定を組んで旅行をする場合は、事前にメールをしてあれこれ質問をするのはとてもいいアイディアです。これ、サービスをする側からも助かります。
特に忙しい時期になると、残念ながら一人一人のゲストにかけられる時間が短くなるし、人気のレストランはすでに満席になっていたりする。返事をする時間に余裕があれば、こちらもじっくりと考えたうえでの案内や情報提供が出来るので、ゲスト側としても良い情報が得られるので、双方にとって良い結果が得られます。

あとは、コンシェルジュを上手く「おだてて」リクエストするといいと思います。こっちだって人間ですから、ぶすっとした人から頼みごとをされるより、旅行を楽しんでます!もっと楽しみたいからアドバイスして!みたいなゲストと接客する方が何倍も楽しいですから。もちろん一定の丁寧さは大事ですが、友達感覚で質問しても全然大丈夫です。

とにかく、われわれコンシェルジュの最大の目標は、ゲストが自分のホテル、街、国…を好きになってもらう、という事に尽きます。そのためなら、ワシが出来ることなら何でもしまっせ!というのがレ・クレドールのコンシェルジュですから。

あなたがもしどこかのホテルで、金の鍵を着けたコンシェルジュを見たら、ぜひ歩み寄って、「あ、レ・クレドールの人ですね!」と言ってみてください。絶対笑顔が返ってきますから!

長々と書いてしまいましたが、レ・クレドール、およびホテルコンシェルジュについては以上です(いまのところは)。何か質問などがあれば…You know where to find me!


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