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日本全都道府県に行ってきた(JR日本最南端の駅へ)

2022年9月から12月にかけて日本を旅していました。最初の目標は、「日本最北端の駅である稚内駅と、最南端の駅である西大山駅の両方に行こう!」というものでしたが、途中から、「アレ?もしかしたら全都道府県を通れるかも…」という野望(?)が頭をもたげて来て…はてさて、それは達成できたのか?

これまでの流れはこのマガジンからどうぞ。

11月25日

さて、今日はついに…。

日本最南端の駅を目指す!

日本最南端の駅というのは、鹿児島県を走る指宿枕崎線の途中にある、西大山駅だ。

あ、ここで慌てて説明すると、「日本最南端の駅」とは、厳密には「JR日本最南端の駅」である。そう、沖縄にはモノレールがあって、あれも分類上は鉄道だから、日本最南端の駅は、あの路線のどこかの駅…と書いてそのままにするのは嫌なのでググってみたら、赤嶺という駅だった(那覇空港のひとつ手前の駅)。
まあでも、モノレールはいわゆる「鉄道」とは見た目も機能(なんといってもレールが一本ですんで)も違うから、一般的観念ではここが「最南端の駅」ということでいいのでは?

この指宿枕崎線というのは、まったくのローカル線なので、時刻表を見ると走っている列車は普通列車ばかりだ。

でも、うむむ?特急「指宿のたまて箱」というのがある。

ジャパンレールパスで乗れるのかなあ、こういう観光用の列車って人気があるから、売り切れかもなあ…、と思いつつ切符の自販機で検索してみると、お、辛うじて残席があった!ラッキー!

ということで、10時少し前出発の、「指宿のたまて箱1号」に乗るべく、鹿児島中央駅へ。

プラットフォームに行くと、ドルンドルンとエンジン音を響かせた、白と黒に塗られた気動車が。

 元の車両は、以前はどこにでも走っていた国鉄型の普通気動車だが、大改造をされていて、展望シートがある車両もある。

アテンダントさんも結構大勢(3-4人だったかな?)乗務していて、発車前にはこのような写真も撮ってくれた。

さて、時間になって出発!

座席は特急列車並みにアップグレードされていてテーブルもあるので、さてさてと、駅ビルの売店で買った、かるかん饅頭をいただく。

普通のおまんじゅうとは少し違う食感を楽しんだ。

列車は、鹿児島湾にそって南下してゆき、しばらくは桜島がきれいに見える。

この路線の隠れ(?)名物が、「揺れる」ということだ。

保線をあまりしていないのか、結構車両が右へ左へと揺れるのである。また、線路にも沢山草が生えていて、昔乗ったビルマの鉄道を思い起こした。あれも、めちゃくちゃ揺れたなあ…。

そして、列車は終点指宿に到着。

次に乗る列車まで45分ほどあったので、今日泊まる宿に荷物を一度下ろす。今日も予算の関係上、取った宿は住宅地のなかにある民宿のような施設で、探し当てるのに少し手間がかかって焦ったが、なんとか時間通りに駅に戻ることが出来た。

いやあ、11月も終わりなのに、南国だねえ、この空気感…。

やって来たのは、白地に青い帯の、キハ47型気動車。ディーゼルエンジンが旅情を掻き立てる。

昼過ぎの列車は、僕と同じく日本最南端の駅を目指すと思しき旅行者以外はほとんど乗っておらず、鉄オタ列車となっていた。

指宿の次の駅、山川を過ぎると路線は少し海を離れる。そしてしばらくすると、特徴のある三角形の山が車窓から。

わ、開聞岳!なんと形のいい山なんだろう。周りが平地なので、とても目立つ。登ってみたいなあ…。

この景色に見とれていると、運転士から、そろそろ念願の日本最南端の駅、西大山駅に到着するとのアナウンスがあった。

そして、我々鉄オタのために、この駅にはしばらく停車し、発車する1分前には汽笛を鳴らすという追加のアナウンスも。以前は乗り遅れた人とかもいたのかなあ…。

そしてブレーキをきしませながら、西大山駅到着。ドアが開くのを待ちきれないようにしてプラットフォームに降りた。

周りを畑と少しの家に囲まれた、プラットフォーム一面だけのとても静かな駅だが、JR日本最南端の駅という名に引かれて車で来ている人もかなりいたため、プラットフォームの上はちょっとした撮影会のような趣になっていた。

そして、この駅は絶景駅でもある。だってこれですよ。日本最南端の駅じゃなくても降り立って写真を撮りたくなる。この日は晴天で、本当にすばらしかった。

いやあ、ついに達成してしまいましたよ…日本最北端から最南端の駅まで。

稚内駅でこの写真を撮ったのが9月30日、もちろん一直線に旅をしていた訳では無いが、ほぼ2ヶ月かけてここまで来た。

稚内で撮った看板。

もちろん、日本国内を鉄道で旅しているだけだから、時間とお金があればほとんど誰でも出来るタスクだけど、そのヒマとカネを捻出するのは、そんなに簡単なことではない。

ついにやった!、オレもヒマ人だな…という苦笑い、やって良かったなあ、日本は広いなあ…

そんな思いが胸の中を交錯した。

汽笛が鳴ったのでまた車内に戻る。

指宿枕崎線はここから更に1時間ほど行った、枕崎駅が終点である。

路線はここから半島を回るように、少し北上しながら西へ進むので、西大山が最南端駅となっているのである。

クライマックスを迎えた後に映画がさらに1時間続く…みたいなシチュエーションなので少しアンチクライマックスだけど、列車はそんな旅人の感傷なぞ気にするはずもなく、終点へ向けて相変わらず車体を揺らしながら進む。

そして、列車は終点の指宿駅に到着。

でも、ここだって侮ってはいかん。なんたって、日本最南端の始発・終着駅なのだから。

それでは、一番北と南の線路の車止めをお届けします!

稚内駅の車止め…なぜか駅構内の外にある
枕崎駅の車止め

この車止めが、本当にあの稚内からずっとつながっている線路のどん詰まり。そう考えると、言ってしまえばただの鉄の塊にも意味があるような気がした。
ちなみに、その距離は算定方法や経路によって変わるけど、だいたい3100キロほどらしい。そんな距離を制覇したんだなあ…と思うと、改めて偉業を達成したような気が。

枕崎はマグロが有名らしいので、ここでマグロ定食でも食べられたら最高なのだが、折り返しの列車は約30分後、その次は2時間半先。駅の周りも特に賑わっていないので、おとなしく次の列車に乗って指宿に戻ることにしよう。

帰りも、もちろん西大山駅の一時停車の間にプラットフォームに下り、少し余裕を持って景色を楽しんだ。

開聞岳を見ながら列車を運転するなんて、オツなもんですな…。

帰りは、下校中の学生で列車はそれなりに混んでいて、地域の足として鉄道が機能しているのを感じられてよかった。

宿に戻り、日が落ちるまでまだ少し時間があったので、自転車を借りて知林ヶ島の方へ行ってみた。

この島は、引き潮の時は砂州で陸続きになって歩いて渡れるそうで、そういうのも面白そうだろうなあ…。

指宿といえば、砂むし温泉が有名なので是非トライしてみたかったが、残念ながら満員だった。

仕方なく?近くにあった温泉施設に入った。砂風呂よりもこっちのほうがゆったりできるからまあいいか。

晩ごはんは、指宿というのはとても小さな町なので、駅前から伸びる商店街もシャッターが下りてしまっているお店が多いし、怪しげなカラオケスナックみたいなのがあったりで、どうかな?と思ったが、宿の人に勧めてもらった駅近くの料理店がとても美味しかった。

もちろん芋焼酎!といいたいところだが、芋ビールを発見したのでまずは喉を潤しがてら。

薩摩なんだからさつま揚げ、だよね。

もちろん芋焼酎もいただきました。

ということで、今回の目標の一つ、「日本最北端と最南端の駅にゆく」は達成できた。しかも、途切れ途切れだがあっちからこっちまで、すべて途切れることなく鉄道で行くことができた。

さて、次の目標、「日本全都道府県を通過する」はいかに?まだまだ旅は続きます。

(つづく)