オージーになっちゃった:番外編
前回の話はここから…。
正式なセレモニーはこれで終わったのだが、のんべえの僕と友人が考えることはもちろん、
「オーストラリア人になって初のビールを飲もうや!」
である…やれやれ。
真っ昼間なんだけど、最寄りのパブに寄って一杯!
ビールの味は同じとはいえ、やはりいい気分だ!
ここではビールを一杯飲んだだけで散会したのだが、もちろんこれで終わりにはならない。
せっかくだから、皆で集まって「国籍取得謝恩飲み会」とでもいうものでもやろう、と、どっかのパブで呑んだくれることにした。
どうせだったら、その名もズバリなThe Australian Hotel という名前のパブに集まろうと思ったのだが…なんと月曜日は空いてないとのこと。
うーむ、パブというのは毎日空いているのが当たり前のようなものなのだが…これもコロナのせいかな。
しかたないので、オーストラリアで一番古い!とうたっているLord Nelson Hotelに会場を変えた。
ちなみに、オーストラリアで一番古い!と主張しているパブは3軒くらいあるのだが、
ずっと同じ場所にある。
ずっと同じ名前で営業している。
ずっと同じオーナーのもとにある。
…みたいな根拠で、「我こそが豪州最古!」と言っているのだ。まあ、どれも間違ってはいない、のでいいのかな…。
ちなみに、Lord Nelsonは自前のビールも作っていて、どれもおいしい。シドニーに来た人ならば是非訪れて欲しいパブだ。
話戻って、夕方になってパブに行った。
正直誰が来るのか分からなかったし、まあそんなにたくさんは来ないだろうなあ…と思っていたら、結構な人が来てくれていてちょっとびっくり。
みな、おめでとう!という感じで祝ってくれて、しみじみと嬉しかった。
もちろん、僕自身なにか変わったというわけではないし、彼らにしても、僕に対する接し方が変わるわけでもない。
でも、これで正真正銘の"you are one of us!"という気持ちがあったのかなあ、と感じた。
あまり国籍だなんだでバリアを作るのは、逆方向に行ってしまうと恐ろしいものだけれども、このように純粋な気持ち(Fraternity=兄弟愛、みたいな言葉がぴったり来るかなあ)は嬉しいものだ。
で、友だちが色々「これぞオーストラリア!」というものをプレゼントしてくれ、これが面白いのでリストアップしてみよう。
カンガルーの…X玉袋
まあ、ジョーク狙いというかなんというか…。キッチュなお土産物として好評を博している…かどうかは知らないけど。
日本語のステッカーが貼ってあったり、袋に「Sachi Bukuro = 幸袋」という刻印がされていたりと、日本人に人気があったのかなあ…。
Vegemite
オーストラリア独特の食べ物、として悪名高い?スプレッド。
これをチョコレートか何かの甘いスプレッドと勘違いしてトーストにベッタリと塗って口に入れ、あまりの塩辛さに仰天したことのある外国人は多いと思う。
これは、ビールの絞りかすを加工して作ったものなので、たしかにめちゃくちゃ塩辛いのだが、ビタミンBがたくさん含まれているので健康にはいいとのこと。
バターをしっかり塗って、その上にごく薄く塗って食べると、味がまろやかになって、慣れると美味しいものである。アボカドやチーズと組み合わせてもおいしい。
ともあれ、オージーのソウルフード、とも言える食品で、彼らは海外旅行に行く際はこの瓶をスーツケースに忍ばせて行くという(ホントかな?)
Wife Beater
これは今回もらうまで知らなかったのだが、こういった袖なしのTシャツのスラングだそう。
Wife Beater =奥さんをぶん殴るような極悪非道な男性が着てるようなイメージであることから付けられたのだろう。そういえば、映画などでもそんなイメージがあるような。
ワラビーズのジャージー
そしてそして、一番のハイライトは…このジャージ!
ラグビーオーストラリア代表チームのレプリカジャージだ。
今でこそちょっと低迷してるけど、僕がこちらに来た2000年前後は、世界最高峰のニュージーランド代表、オールブラックスと対等に戦える数少ないチームだったし、本当に強豪だった。
日本にいる頃もラグビー観戦は好きだったので、そもそもオーストラリアに行ってみよう、と思った理由の一つに、本場のラグビーが見れるなあ…と思ったこともある。
しかも、背中には…。
わざわざ僕のニックネームを入れてくれた。(追加料金かかるのに…)
これには感動したなあ…。
そんな風にして、ちょっとした同窓会みたいな雰囲気になりながら、皆でビールを酌み交わした。
これから選挙があったり、パスポートを取ってみたり、という細々としたことで、「あ~、ホントにオーストラリア人になったんだな」と改めて思うことが増えてくるのだろう。
こうして、段々と自分のアイデンティティが、水に落とした一滴の絵の具が拡散していくように、どんどんと薄くなっていくような気がする。
間違いなく日本文化で生まれ育ったけど、人生の半分以上はその外で暮らし、今や国籍まで日本ではなくなった。
一抹の寂しさもあるけど、いやいや、これからの時代の流れはこうじゃなきゃ!みたいな自負も感じる。
これからの後半生、色々楽しみだ。