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日本全都道府県に行ってきた(寝台特急に乗って出雲市へ)

 2022年9月から12月にかけて、日本を旅していました。最初の目標は、「日本最北端の駅である稚内駅と、最南端の駅である西大山駅の両方に行こう!」というものでしたが、途中から、「アレ?もしかしたら全都道府県を通れるかも…」という野望(?)が頭をもたげて来て…はてさて、それは達成できたのか?

これまでの流れはこのマガジンからどうぞ。

12月3日

さて、昨晩は岡山駅近くのビジネスホテルに泊まった。

なぜ岡山に行ったのかというと、色々訳がある。

この時点までで、全都道府県制覇まであと3県にまで迫っていたのだ。

ってことは、44都道府県を回ったことになる(通過しただけの場所もあるけど)…我ながら、すごい。

残された県は…というと、

鳥取県

島根県

そして、沖縄県

なんか予想通りというか、一番行きづらい県が残ってしまった。

ただ沖縄県には、兄夫婦と宮古島に行くことが既に決まっている。

宮古島に行く日は12月6日で、安い航空券を探した結果、福岡から那覇経由で宮古島まで行くことにした。

前日の5日は福岡に泊まるだろうから、12月3日から数えると、3日間ある。

正直、全都道府県制覇なんてことをせずに、もっとゆっくりと九州なり瀬戸内海の島なりを過ごすという手もあったが…いや、あと2県なら行かないわけには!

こんなチャンスを逃したら日本男児がすたる…あ、いやオレはもう日本人じゃなくなったので、オージースピリッツ?アンザック魂がすたる?まあなんでもいいか。

ANZAC(アンザック)は、オーストラリアおよびニュージーランド合同の軍事組織を意味する語。語源は第一次世界大戦時に編成されたオーストラリア・ニュージーランド軍団 (Australian and New Zealand Army Corps) のアクロニムに由来する。
また、ANZAC精神 (ANZAC legacy) という両国兵士が示した気風を意味する語も作られている。

ウィキペディア

ただ、山陽から山陰に行くのって結構大変で、鉄道路線はいくつかあるが、中国山地を越えないといけないのでどれも時間がかかる。結局岡山まで行って、電化されている伯備線を走る特急に乗っていくのが一番手っ取り早いということがわかった。

…ということで、わざわざ東に逆行するような形で岡山に行ったのだ。

さてこの3日間、鳥取、島根でどこに行こうか?駆け足なのでそんなに人里離れた場所には行けない。

やはりここは出雲大社だろうなあ…日本の始まった地というか。鳥取といえば砂丘だけど、砂丘はオーストラリアにもあるしなあ…。

岡山から出雲市方面へは、特急「やくも」が出ていて、しかも1時間に1本の高頻度。

朝起きて、適当な時間の列車に乗ればいいや…と思っていたのだが!

あれ?もう一つ、なんか有名な列車が走ってなかったっけ?

そう、鉄オタなら知らないはずのない、「サンライズ出雲」が走っているではないか!

「サンライズ」といえばアンタ、日本で唯一の寝台特急である。これが岡山駅に朝早く着発するので、まあこれで一夜を過ごすということにはならないが、乗車することは可能なはず。

ただ、僕が持ってるJRパスでは寝台車には乗れず、乗ろうと思ったら特急寝台券を追加購入する必要がある。それはちょっと馬鹿らしい。

だが、この列車には、「ノビノビ座席」という、ざこ寝席のような車輌が一つだけあり、それには特急指定席券だけで乗れる。

…ってことは、JRパスで、追加料金無しで乗れちゃうの?

半信半疑でパスを指定券売機にかざし、照会すると…。

なんと、乗れる!
でも、あと4席ほどしか残っていない!どうするべ。

僕が岡山から出雲市までの切符を買ってしまうと、例えば東京から、本来の夜行列車として使いたい人の席を取ってしまうので、それは道義上どうなのよ…という気持ちがあった。別にそんなの気にしなくてもいいんだけどさ。

でも、もうあと少しで東京を出発するような時間になっていたし、もうこれから切符を買う人が入る確率はかなり低いだろう、エイっ!

と発券してしまった。

これが昨晩の話。長かったけど。

というわけで、まだ朝6時すぎの暗い空の下を、岡山駅に戻る。

しばらく待っていると、おお~、やって来た!

さてこの岡山駅で、この列車は「サンライズ出雲」と「サンライズ瀬戸」に分割され、これを見るのが「名物」らしい。

もとより僕は岡山駅で、列車が来る前から待っているのだから、プライムスポットを確保できていたはずなのだが…。

ナニ、この熱気!列車のドアが開くやいなや、大勢の乗客が降りてきて、連結部に群がる。慣れていないオジサン(僕のこと)は、たじたじと後ずさりしてしまいましたよ…。

あのさ~、電車が切り離されるだけ、なんだよね…。しかも、この作業は毎日2回(上り、下り列車)、繰り返されているんだよね。

僕はどっちかというと、それに群がっている鉄オタを見ている方が楽しかったので、それを主題に写真を撮った。

さて、僕の号車はどこだ…。

ノビノビ座席は、このように2段式になっていて、床にはカーペットが敷かれている。

もう朝なので必要はないと思うけど、ちゃんと毛布もある。

頭側にはパーティションがあり、頭から肩の辺りまではお隣同士見えないので、プライバシーはそれなりに保たれていると思う。

僕も朝が早かったので、少し横になってうとうとしたり、腹ばいになって車窓を眺めたりとしてゆっくりと過ごす。こういう姿勢で電車に乗ることってほとんどないから、なにやら新鮮。

列車は川や時折現れる集落に沿って走り、いつの間にか分水嶺を越え、だんだん平地に戻ってきた。

そしてアナウンスがあって窓の外を眺めると、特徴的な形の山が。

大山だ!ああ、いいなあ~。

ちょうど山頂に雲が被っていて隠れていたが、堂々とした山容が素敵だった。日本の山は良いなあ…。

大山を見ているとじきに列車は山陰本線に合流し、今度は大山が進行方向左側から見えるようになった。

このあたりはおそらく山陰本線でも賑わっている場所で、米子、松江といった大きな町に停車していき、乗客も徐々に降りていった。

そしてこんどは大きな湖が進行方向右側に。宍道湖、広いな。

ついに「サンライズ出雲」は終点出雲市駅に到着。わ~、いい天気だ。

僕は朝の6時半から3時間半ほどの旅だったけど、前の晩から晩酌をしながら乗ってみたらもっと楽しいだろうなあ…。でもいい経験だった!

さて、観光だ。

JR駅のお隣りにある一畑電車に乗り、出雲大社へ向かう。新しくてモダンな電車だった。

そして終点の駅舎の建築様式がなんともレトロというか可愛らしいデザインで、見ていて楽しかった。

ここから参道を歩いて出雲大社へ。

大勢の参拝客で賑わっていたが、あんまり縁結びとかは関係のないオジサンなので、サクッと見て回った。でもやはりこの神社の空間、気持ちがしゃんと引き締まるのがおもしろい。

出雲大社も良かったけど、僕としてはお隣にあった歴史博物館も素晴らしかった。

特に、銅鐸、銅鏡、銅矛…といったもののコレクションが、量、質ともに圧倒的だった。

シンプルに、古代人への尊敬を感じてしまった。こんな精巧なものを作っていたんだ…こういうのって、心が豊かじゃないと作れないと思う。

色々な説明文や展示を見るにつけ、この出雲という地はなるべくして日本のふるさとになったんだなあ、ということを実感した。

知的欲求を満たされたので、参道にあったクラフトビール屋さんで1杯。

出雲大社駅には、昔使われていた旧型電車が綺麗にレストアされて保存されていたのでしばし見学する。

木が多く使われていて、温かみがある。

とても長い一日だったが、乗り鉄もやったし、オトナの社会科見学も楽しんだし、充実した日だった。

(つづく)