米株とビットコインの相関について

こんにちは、高橋勇気です。
久しぶりの更新になりますが、今回はビットコインについて書きたいと思います。
 

分析の目的

2021年11月ごろ、ビットコインは約70,000ドルまで上昇しておりましたが、現在は約22,000ドルと大幅に低下しております。
株や債券などと言った伝統的な資産の代替になり、ポートフォリオの分散の観点からも仮想通貨は優れているとの論調がありましたが、本当にそうなのでしょうか。
 
今回は代表的な株価指数である米国のSP500とビットコインの相関係数を遡って計算することで、ビットコインに投資することの意義を投資の代替という観点から考えていきたいと思います。 

使用データ

・SP500とビットコインの日次データ
 (月曜~金曜のみ、SP500は土日の数字が取得不可のため)
・日次の値幅
・過去x日の日次変化幅を用いた相関係数を計算(x=10、20、30、60)

米株とビットコインの価格推移

まず、こちらがSP500とビットコインの過去5年間の推移です。どちらも大きくは右肩上がりになっております。

米株とビットコインの相関係数の推移

さて、早速ですが米株とビットコインの相関係数を見てみましょう。
 

米株とビットコインの相関係数(過去10日)
米株とビットコインの相関係数(過去20日)
米株とビットコインの相関係数(過去30日)
米株とビットコインの相関係数(過去60日)

さて、いかがでしょうか。
過去10日のデータを使用した相関係数では分かりにくいですが、計算に取得する期間を伸ばすと、明らかに米株との相関係数が増加していることが分かります。

相関係数から得られる知見

この相関係数をよく見ると、面白い知見が得られます。

おそらく機関投資家の参入が限定的であり、まだビットコインが広く認知されていなかった2019年までは明確に相関係数は低いです。ほぼ相関はゼロといっても過言ではありません。

しかし2020年に入ると徐々に大手金融機関が仮想通貨に関連するサービスを提供し始めたことで、またビットコインを投資対象とする市場参加者が増えたことで、良くも悪くも、米株との連動性が高くなってしまったのでしょう。

今後の仮想通貨の予想

個人的には、仮想通貨は今後、間違いなく普及すると考えております。
普及とは、日常生活の中で頻繁に使用されるというよりは、投資対象としての地位の向上です。多くの投資家が仮想通貨を自身のポートフォリオの一部として仮想通貨を加えることになるでしょう。

現在は個人投資家や一部のヘッジファンドなど、ごく限られた参加者のみが購入している仮想通貨ですが、数十年後には生命保険や年金基金などの業界の中では割と保守的な投資主体も仮想通貨市場に参入することで市場規模の拡大や価格高騰を予想しております。
 
しかし今回の分析結果で得られた知見は、むしろ米株との相関係数の上昇を示していたため、仮想通貨市場にとってはネガティブな要素となると思います。
 
いずれにせよ、これまでのような“分散効果の観点から仮想通貨に投資する”意義は薄れてきているのが実情です。
 
今回は簡単ですが、以上になります。
 
高橋勇気

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