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【2021年8月9日時点】各国中央銀行の金融政策まとめ

こんにちわ。
高橋勇気です。

8月は夏季休暇の関係で中央銀行の金融政策決定会合が理事会の予定が少ないです。市場は夏枯れ相場に入りつつありますが、各国の中央銀行の金融政策を簡単ですが、おさらいしておきましょう。当然ですが、国によって経済情勢、コロナ、インフレ率等等、異なるわけですから、中央銀行が実施している金融政策も異なります。

こちらの記事を読むことで、市場全体を俯瞰的に捉えることができると思います。

今回は日銀、FRB、ECB、RBAの中銀イベントについてまとめております。極力客観的に記載しつつ、個人的な感想や相場予想も加えました。

また総裁のコメントや声明文等もまとめることで、国による相違点が分かるよう工夫しております。ぜひご一読ください。


話が逸れますが、FXをやる上での重要知識をこちらに書いております。
私は以前、メガバンクでFXのトレーダーをしており、プロの目線からFXについて書きました、こちらを読めば、FXをやる上でかなり有利にあるかと思います。15,000字程度の自信作です。
メガバンクの元外国為替トレーダーが語る、FXをやる前に絶対に知っておきたい11個のこと

では早速ですが、書いていきます。まずは下記のスケジュールで中央銀行のイベントがありました。

日銀:7月16日
FOMC:7月28日
ECB:7月22日
RBA(オーストラリア):8月3日


日銀金融政策決定会合について(7月16日)

政策金利やイールド・カーブ・コントロール(YCC)等の金融政策の大枠を維持。
金融機関の気候変動対応融資の骨子を発表

さてまずは日銀ですが、金融政策は現状維持となりました。


一方で昨今の気候変動対応を中央銀行の立場から推進するための融資案の骨子を発表しております。日銀は市場に対して中立の立場を維持するため、あくまでも後方支援の立場を表明いたしました。

つまりは銀行に対して気候変動対応関連の融資を伸ばした場合、その融資額と同額をマイナス金利ではなく0%で付利するとのことです。一見、何も旨味が無さそうですが、通常はマイナス0.1%の金利がかかってしまうものの、0%で預けることができるため、銀行としては得になります。

さて金融市場の反応ですが、予想通り、反応は限定的でした。もう全く動く気配すらありませんでした。ドル円ですらピクリともしません…。5年前にマイナス金利を導入した時のような興奮は全くありません。トレーダーとしては残念ですね。


FOMCについて(7月28日)

政策金利の誘導目標を0.00%~0.25%に維持。
米国債の月800億ドル、MBSの月400億ドルの購入も維持。

市場の予想通りですが、金融政策の変更はありません。
しかし特筆すべき点は以下です。
FOMCは「雇用の最大化と物価安定に向けて顕著な進展がある」まで量的緩和を継続する方針を示している中、声明文では「経済はこの目標に近付いており、今後複数の会合で進捗を評価する」との記載がありました。

さて、最も重要な点は「今後複数の会合」と記載されていたことです。

つまり次回会合が9月ですので、次々回以降の会合になります。つまり11月又は12月のFOMCで金融緩和縮小(=テーパリング)が発表される可能性が高いです。

個人的には今回のFOMCはややタカ派のように感じました。

というのも、労働市場の改善が道半ばであり、デルタ変異株が新規感染者数を押し上げている中、FRBが労働市場の改善を前提とした声明文を作成したからです

かなりの自信があるのか、もしくはFOMCメンバー内にいるタカ派の意見を持つ委員を無視できなくなったのか…。
いずれにせよ8月6日に発表された米雇用統計が良好な結果となったことで、FOMCの思惑通りに米経済が改善していることが示されました。

ECB理事会について(7月22日)

主要政策金利の現状維持を決定。
パンデミック緊急買入プログラム(PEPP)の金額も変更なし
一方でインフレ目標については、これまで「2%未満且つそれに近い水準」から「2%」に変更

さて今回の注目はインフレ目標の変更です。

これまでの目標だとインフレ率は2%を超えないようECBは金融政策を変更する必要があります。しかし現状、コロナからの回復下の中、インフレ率は2%を大きく超える可能性が高く、ルールに従うならばECBは金融政策を縮小する必要がございました。一方でコロナからの回復は道半ばですので、その判断はできません。そのため、インフレ目標自体を変更することとなったのです。

ラガルドECB総裁の会見で、欧州経済は回復しているものの、デルタ変異株の感染拡大を懸念、また緊急対応策のPEPPの縮小議論は時期尚早と発言しており、従来のコメント通りとなっております。

ECB理事会は特段真新しい内容はなかったものの、ECBによる金融緩和政策が当面は継続するとの見方から小幅にユーロ安となったものの、大きなトレンドにはなっておりません。


RBA(オーストラリア)について(8月3日)

政策金利を0.1%で現状維持
資産買入プログラムは9月までは週50億豪ドル、それ以降は40億豪ドルにする方針も現状維持

さてオーストラリアについては前回の会合で既に資産買入プログラムの減額を示唆されておりました。

しかしシドニーのロックダウンが継続し、デルタ変異株の蔓延する中、一部の市場参加者はこの買入額の減額方針を修正するのではないかと予想していたのです。この予想が外れることでタカ派の会合と認識され、RBA理事会後に豪ドル高となりました。

ロウRBA総裁は「景気回復は予想以上に速い」と楽観的な姿勢を示した一方で「デルタ変異株が新規感染者数を押し上げる中、不確実性の主因は健康状態だ」とも述べております。このような状況下、RBAの声明文では「買入プログラムについては柔軟なアプローチを採用する」としており、将来の金融政策の自由度を高めた認識です。

コモディティ価格が上昇している一方で、豪ドルは低迷しております。またFRBよりも早く金融緩和を縮小する方針を示しております。
日銀やECBが緩和に動くことが予想されていない中、中期的に考えると豪ドルは割安と考えております。向こう数か月間は豪ドル高で推移するのではないでしょうか。


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高橋勇気


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