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ウクライナ侵攻によるFX(主要12通貨)への影響について
皆さん、こんにちわ。
高橋勇気です。
先週からロシアによるウクライナ侵攻が行われましたが、このイベントがFX(主要12通貨)にどのような影響を与える可能性が高いかについて、本日は書きたいと思います。
結論から書きますと以下のようになると考えます。
【売られる通貨】
RUB(ロシアルーブル)、EUR(ユーロ)、GBP(イギリスポンド)、SEK(スウェーデンクローナ)、DKK(デンマーククローネ)
【中立の通貨】
CHF(スイスフラン)、CAD(カナダドル)、NOK(ノルウェークローネ)、
【買われる通貨】
USD(米ドル)、JPY(日本円)、AUD(豪ドル)、NZD(ニュージーランドドル)
話が逸れますが、私はメガバンクでFXのトレーダーをしていたことがあります。
その経験を元に以下の記事も書いておりますので、お読みいただけると嬉しいです。
FXを行う上で絶対に知っておく必要のある知識をまとめております。
メガバンクの元外国為替トレーダーが語る、FXをやる前に絶対に知っておきたい11個のこと
それでは本題です。
ウクライナ侵攻に伴う為替市場への影響について
まずは大雑把にロシアがウクライナに侵攻したことが市場にどのような影響を与えるかについて書きたいと思います。
市場への影響は主に以下2つです。
①地政学リスクの高まり
ウクライナとロシアは戦争状態にあるため、当然ながら地政学リスクの高まりによってリスク資産の価格が下落し、安全資産へとマネーが移動します。
ここで覚えておいていただきたいことは、”あくまでも本件は東ヨーロッパで起きている局所的な戦争である”ということです。
②コモディティ価格の上昇によるインフレ懸念
ロシアは資源大国です。特に天然ガスは欧州に大量に輸出しております。また小麦は世界最大の産出国になります。
欧州各国からするとロシアから天然ガスを輸入しにくくなるため、当然ながら天然ガスの価格が上昇します。
またあまり知られていませんが、ロシアは世界で3番目の産油国であり、2位のサウジアラビアとあまり変わらない産油量となっております。(1位は米国です)。そのため原油も同じように上昇します。
原油や天然ガス等のエネルギー価格だけではなく、小麦などの穀物なども値上がりし、つまりはコモディティ全体の価格を押し上げることとなります。
さてここからは通貨毎の強弱について考えていきます。
【売られる通貨】
RUB(ロシアルーブル)
当然ながら事の発端となっているロシアルーブルは既に非常に売られています。
今後、国際決済システムであるSWIFTからの除外が決定した場合にはより加速して売られていくでしょう。既に対ドルでは史上最安値まで下落しておりますが、もはや底なしであり、引き続き下落する可能性が高そうです。
また余談ですが、ウクライナの通貨であるフリヴニャも酷く売られております。
EUR(ユーロ)、GBP(イギリスポンド)、SEK(スウェーデンクローナ)、DKK(デンマーククローネ)
上述の背景にて記載いたしましたが、現時点では東ヨーロッパでの局所的な戦争になっております。当然ながら地政学リスクの高まりによってその周辺国の通貨が売られることとなります。
今後、ウクライナの難民問題なども出てくるでしょう。また復興支援による財政問題もEUで議題に上がる可能性もあります。
ECBへの影響も簡単に記載しますと、今年、ECBは金融緩和の縮小に舵を切っており、国債の買入額を縮小する方針です。市場もそのこと自体は既に完全に織り込んでいるのですが、ウクライナ問題によって後ずれするようなことがあれば、当然ながらユーロ安へと繋がります。少なくともユーロ高要因では無いはずです。
完全に個人的な予想ですが、通貨の強弱の順番は以下になるのではないでしょうか。
RUB<SEK<EUR=DKK<GBP
【中立の通貨】
CHF(スイスフラン)、CAD(カナダドル)、NOK(ノルウェークローネ)
次は中立の通貨として上記3通貨を挙げました。
CHF(スイスフラン)
ご存知の通り、スイスフランは安全通貨になります。スイス自体が永世中立国として存在しているためです。そのため対ユーロでは強く推移すると思いますが、スイスもヨーロッパに含まれることから売り材料と買い材料が拮抗することで中立と予想いたしました。
CAD(カナダドル)、NOK(ノルウェークローネ)
さて次は原油通貨になります。
カナダもノルウェーも産油国であることから原油価格の上下に通貨の強弱が大きく影響を受けます。
原油高による通貨上昇圧力がかかる一方でリスクオフによる売り圧力もかかることで中立と予想いたしました。
完全に個人的な予想ですが、通貨の強弱の順番は以下になるのではないでしょうか。
NOK<CAD<CHF
【買われる通貨】
USD(米ドル)
ここ数年安全資産としての注目が高まっている米ドルですが、東ヨーロッパでの戦争であることから米ドルも買われる可能性が高いでしょう。
地理的にも離れている上、欧州各国の通貨が売られる中、その資金移動の受け皿になれる通貨は多くありません。
JPY(日本円)
さて次に日本円ですが、久しぶりに安全資産としての実力を発揮しそうです。
東ヨーロッパとは地理的に離れていることや安全資産であることを踏まえると文句なしに買われる可能性が高いです。
万が一、欧州各国の軍隊とロシア軍が衝突したとしても、日本の自衛隊が戦うことはないはずですし。
AUD(豪ドル)、NZD(ニュージーランドドル)
さて最後にオセアニア通貨を挙げさせていただきました。
どちらも資源国通貨として知られており、AUDは主に鉄鉱石等の鉱物、NZDはミルク等の乳製品の算出が盛んです。
地理的に離れていることやコモディティ価格が上昇することを踏まえるとAUDとNZDが上昇する可能性は高いでしょう。
完全に個人的な予想ですが、通貨の強弱の順番は以下になるのではないでしょうか。
NZD<USD<AUD<JPY
まとめ
いかがでしょうか。
まとめるとこのようになります。
RUB<SEK<EUR=DKK<GBP<NOK<CAD<CHF<NZD<USD<AUD<JPY
ウクライナ問題だけに焦点を当てるとこのような強弱になると思います。
もちろん為替市場はウクライナ問題だけではなく、各国経済情勢や中銀のスタンス等、非常に多くの材料に左右されるため、必ずしも上述の通りにはならないと思いますが、念頭に置いておいてもいいでしょう。
参考になれば幸いです。
高橋勇気
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