山代悟

建築家/博士(工学) 1969年島根県出雲市生まれ。ビルディングランドスケープ一級建築…

山代悟

建築家/博士(工学) 1969年島根県出雲市生まれ。ビルディングランドスケープ一級建築士事務所 共同主宰、芝浦工業大学建築学部建築学科 教授、NPO南房総リパブリック 副代表理事、元 大連理工大学建築与芸術学院 客員教授

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Apple Vision Proと旅をしてみた

Appleストア丸の内店でApple Vision Proを購入したのが7月7日。眼鏡をかけないとよく見えないので、注文したZEISS Optical Insertsが到着したのが7月15日。そこから一ヶ月ほどApple Vision Pro(以下、AVP)を使ってみた感想です。 最後に「こういう場面で使ってみたいな」「こうなると使う人が増えそうだな」と感じたことも書いてみました。 最初の一週間はレンズが到着していなかったのですが、早く触ってみたいのでぼんやりとした視野の

    • 槇文彦とアソシエイツ: 個人であること、仲間であること。そして「独りのためのパブリックスペース」

      槇文彦さんが令和6年6月6日に逝去された。1928年生まれ。95歳でした。 槇さんの建築論を論じる前に、自分の1995年から2002年までの、7年間という限られた間、槇総合計画事務所(MAKI AND ASSOCIATES、以下 槇事務所と記載)で所員として働き、槇さんの働き方の一端や、そこに見える建築論に触れた経験から考えたことを書いてみたいと思います。もっと若い頃からご存じの諸先輩や、後輩たちはまた別の体験をされていると思うので、あくまでも山代個人の経験に基づくものであ

      • 都市木造は なぜ作れるようになったのか

        『都市木造の世界 ~ビルディングランドスケープのみる中大規模木造建築の最先端~』Vo.2 ビルディングランドスケープでは、自分たちで中大規模木造建築を設計する傍ら、様々な団体や法人から依頼を受け、中大規模木造建築についてのビデオを企画、撮影、編集してきました。 中大規模木造建築を実現するには、まずは木造建築に利用可能な木質建材を理解することと、構造上の工夫(特に地震にどう備えるか)、そして多数の人々が利用する建築に重要な防耐火性の持たせ方を理解することが大切です。 これ

        • 都市木造は なぜ求められているのか、なぜ造れるようになったのか、社会活動はどう変わるのか

          『都市木造の世界 ~ビルディングランドスケープのみる中大規模木造建築の最先端~』Vo.1 ビルディングランドスケープでは、自分たちで中大規模木造建築を設計する傍ら、様々な団体や法人から依頼を受け、中大規模木造建築についてのビデオを企画、撮影、編集してきました。 中大規模木造建築、その中でも多層の構造を持ち、都市部でも建築可能な防耐火性能をもった建築を「都市木造」と呼びます。 地球規模でも環境意識の高まりへの応答、そしてそれぞれの地域の環境や地場産業としての林業を持続して

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        • 都市木造は なぜ作れるようになったのか

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        • しごとのしかた
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          続続・オーストラリアにみる都市木造の可能性(2024、と一部2023)

          本来は2024年2月17日の19時過ぎ成田発でメルボルンへフライトの予定でしたが、機材到着遅れで21:30発、22:30発と2回遅れの連絡。嫌な予感はしたのですが、3回目で明日17時発に延期とのダメ押しの連絡、、。成田空港は23時にはクローズだからもう一回遅れたらやばいと思っていましたが、、。 気を取り直して18日日曜日の17:00成田発で出発。19日月曜日メルボルン空港に朝5:25に着陸。シティバスで市内に出て7:30に予約しているレンタカーをピックアップ。メルボルンから

          続続・オーストラリアにみる都市木造の可能性(2024、と一部2023)

          誰のために働くか

          建築デザインを大学と大学院で学んだ自分が就職を決めた時に何を考えていたのかなと振り返った時に、一番は「尊敬できる誰かのために働いて、技術を身につけたい」ということだったと思う。独立することは前提だったので。 大きな企業にも入れたかもしれないけど、配属であてがわれる設計部長とか室長の元で働くというのはイメージできなかった。なんでこの人の言うことを真に受けないといけないの?という感じ。生意気も甚だしいけど。 縁あって面接を受けて槇総合計画事務所に就職した。槇文彦さんは言うまで

          誰のために働くか

          伝統をもとに考える。新しい憧れを生み出す。

          私は島根県出雲市の出身で、東京の大学に入学する19歳の春まで出雲で過ごしました。母方の家系は大工で、父方の家系は製陶業を営んでいて、木を建材として、あるいはエネルギー源として利用するのを見ながら育っていました。東京に出て大学で学んだり、設計事務所で就職してからは、出雲の大人たちと触れ合う機会はほとんどなかったのですが、30代になってから出雲で建築ワークショップをしたり、まちづくりのお手伝いをする機会もでき、地元での建築関係者の方との縁もできてきました。 そのような縁がきっか

          伝統をもとに考える。新しい憧れを生み出す。

          楽器やスポーツをひとつ身につけるように

          noteの記事を読んで色々と得心いったと学生に言われたので再掲。読んでくれるのは嬉しいね。 学生に伝えておきたいことは、学びにおいては「作業時間の短縮」は学びの時間の短縮、すなわち、学びのチャンスの減少にしかならないケースが多いということ。 手描きで何時間も製図にかかるものをCADでは数分で描画することができるケースがあります。その「製図」の効率性は「設計」というスキルを身につけた後に仕事の効率を上げてくれる有効なものですが、まだ十分に設計のスキルを身に付けていないうちに

          楽器やスポーツをひとつ身につけるように

          ビルディングランドスケープ:戸建住宅

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          ペーターとオンジとハイジ。仕事の未来

          朝シャワーを浴びながらの思いつき。 労働時間の短縮が叫ばられる。もちろんこれ自体は結構なこと。一方で自分自身に高い課題を課して成長を続けられる人以外はスキルが低いまま置かれる。そしてAIやロボットに仕事を奪われていくだろう。 労働時間短縮の次の論理的な帰結は、労働者自体の削減だろう。実際は同時に起こる。 近未来の仕事はどんなものになるか。アルプスの少女ハイジになぞらえて考えてみた。 ひとつは、おんじ、みたいな感じか。手づくりで家具やチーズをつくり、ある程度社会から自立

          ペーターとオンジとハイジ。仕事の未来

          市民防災に向けて

          昨晩はウェビナー「被災屋根応急補修構法に向けて」を開催しました。令和元年、2019年9月の台風15号をはじめとする台風で大きな被害をうけた千葉県館山市富崎地区。NPO南房総リパブリックで空き家をお借りして、二地域居住体験施設「布良ハウス」を運営し、事務局長として春日広樹さんが住んでいた地域です(台風当時のことについてはこちら )。 台風時の第一報を受け取ったのは、イタリアのキアンティのワイン畑。アグリツーリズム調査ということでワイナリー巡りをしているほろ酔い加減の時に連絡を

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          ビルディングランドスケープ:教育施設

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          モデルをみる力、そしてモデルに描かれていないものをみる力

          2010年くらいまではスタディは極力模型でやるようにしていましたが、大連理工大学の客員教授を勤め、日本と中国の両方で仕事をするようになったことがきっかけで、さすがに日中両方で模型をつくるほどのマンパワーもないので、SketchUpやRhinoを使ってのスタディの比重が上がってきました。 ただし、スナップショットを送ってもらって判断するのではなく、3Dモデルを送ってもらって自分でモデルのなかを「ぶらぶらする」ようにしています。模型に比べれば情報量は落ちるけど、このぶらぶら作戦

          モデルをみる力、そしてモデルに描かれていないものをみる力

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          ビルディングランドスケープ:集合住宅

          ビルディングランドスケープ:集合住宅

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          セブ|よいとこ

          今回は環境建築の国際会議「GREEN 2020 from Ridge to Reef」に参加するためにフィリピンはセブ島に行ってきました。 空港から市内へ。さすが。早速セブの洗礼を受けます。世の中、リスクってなんだろう。 マゼランを倒した国民的英雄ラプラプを記念した公園へ。公園の東屋。葦のようなもので葺かれた屋根と、草で編んだスクリーンの壁。壁は外に倒れた角度で取り付けられている。他の小屋でも同じような作られ方をしているので、一般的な作られかたなのか。 雨を防ぐ

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          二地域居住と「サピエンス全史」

          ここのところ飛行機移動が続くため、iPhoneのKindleでの読書。ユヴァル・ノア・ハラリの「サピエンス全史」を再読。 「サピエンス全史」https://www.amazon.co.jp/サピエンス全史-上下合本版-文明の構造と人類の幸福-ユヴァル・ノア・ハラリ-ebook/dp/B01KLAFEZ4/ref=mp_s_a_1_4?keywords=サピエンス全史&qid=1583108515&sr=8-4 大著でもあり、隅々まで精読するわけではないが、飛行機の中で

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