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大学入学共通テスト(リーディング) 総括

 大学入学共通テスト(リーディング)の「戦略編」「対策編」が終了したので,総括をします。

(1)  どのような力が求められるのか

① skimming能力とscanning能力
 
とくに,scanning能力が求められます。必要な情報を探し出す力です。何に関する情報を探すべきかを捉えるために,設問を先に読むことが求められます。また,情報が本文全体に散らばっていることが多いため,選択肢にも目を通し,極力覚えることも求められます。

② 情報処理能力
 数ある情報の中で,必要な情報を見つけ出すだけでなく,ときには複数の情報を組み合わせ,グラフや図表も合わせて捉える情報処理能力が求められます。

(2)  対処法

① メリハリをつける
 速く読むためには,読解するときにメリハリをつけます。イイタイコトのところではゆっくり読み,そうでないところは速く読むとか,解答に関係あるところはじっくり読むなどです。
 設問を読むときにも,メリハリをつけます。たとえば,

At the school festival, ( 16 ).
 ① most food at the stalls was sold out before lunch time
 ② the dance show was held inside due to poor weather
 ③ the ghost house was run without electronic devices
 ④ the karaoke competition was held in the morning
                 (試行調査の第2回の第3問Aの問1)

のように,設問部分に情報がないときは,しっかりと設問を頭に入れとく必要があります。どんな情報が問われるかが予測しにくいからです。一方で,

According to the article, the author calls the current situation in Asia a crisis because ( 35 ).
                 (試行調査の第2回の第6問Aの問1)

のように設問部分に情報が比較的多くあり,拾うべき情報が明確な場合は,とくに選択肢を覚えておく必要はありません。
 また,答えるべき段落が指定されていたり,タイトル問題のような全体を問う設問も同様です。このように,設問をどこまでしっかり読み込むかにも,メリハリをつける必要があります。

② 自分が苦手な問題を認識し,意識的に練習する
 英文自体は決して難しくありません。しかし,選択肢が巧みに書き換えられていたり,推測を必要とする書き換えなどがされています。(1)で述べたように,複数箇所の情報を使う場合もあります。試行調査やセンター試験の過去問,共通テスト対策模試や問題集を用いて,自分の苦手なタイプのものを意識的に練習していきましょう。

(3) 本質を見誤らない

 最も大切なことは,形式に惑わされないことです。もちろん,形式ごとに効果的な方法を意識することで得点アップにつながることは間違いありません。しかし,それは土台となる基礎力があってこそです。基本的な精読力,それを音読して自動化の域まで到達させるという根本的な土台がない人がどれだけ「コツ」をつかんでも,到達できるレベルはたかが知れています。

きちんと精読できる力をつけ,精読の速度を上げるという地道なことを続けて初めて,方法論が生きてきます

このことを忘れないでください。土台作りを続けながら,それぞれの形式にあった訓練,すなわち演習を積むことで高得点への突破口が見えてきます。

 また,ここ5,6年のセンター試験を遡ってみると,「新傾向」といえる問題が出題されるときまって,その問題の正答率が下がりました。ここから言えることは,「対策できている問題」以外の対処ができないということです。
 しかし,初めて見た問題に対処できて初めて,真の「学力」がついているといえます。パターンプラクティスによる「解き慣れ」ではなく,その問題が何を問うているのかを考え,教科で習った知識や他教科で習った考え方を応用できる力(教科横断した普遍的学力)を養うことが求められる時代が到来したと考えましょう。「新しい」ものを面白いと思って楽しむことがそのような力をつける第一歩といえるでしょう。

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