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血と暴力の国

 
 ノー・カントリー・フォー・オールド・メンを読ました。アメリカ文学の一端を感じながら、コーマック・マッカーシーの手腕に脱帽。人生の選択が必要なシーンに直面したらコインの裏表に任せようと思います。外れたら死ぬじゃんというのはナシ。
  このノー・カントリー・フォー・オールド・メンですが再販に際し購入しました。再販前のタイトルは血と暴力の国。なぜタイトルを変えたのだろうかと読んでみる。なるほど。血と暴力の国のタイトルでも間違いはありませんがやはりこの作品はノー・カントリー・フォー・オールド・メン。ベル保安官のエピローグがこのタイトルを形作っている。あまりにも苦々しい終わり方だなとは思うけども。
  本著の特徴は会話における引用符(鍵括弧)と地の文での読点がないこと。読点に関しては今実践しているような感じです。ここでは真似ているだけなので味はありませんが。引用符に関してはあるはずのものがないという既成概念の破壊と無いならないで会話に現実味を帯びさせる効果を発揮している。引用符がないだけで会話一つ一つに集中できるし何より緊張感が増している。そりゃそうだよな、普段している会話に引用符なんてついているわけじゃないし。なんというか会話を読んでいるというより、隣で聞いている感覚を抱きました。そのぐらい文学としてすごく高い位置にいる。この感覚を更に享受したい。次はザ・ロードとチャイルド・オブ・ゴッドに手を伸ばそうと思います。

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