高校生のデートがしたい

わたしは高校生のときに彼氏がいなかった。3年間しっかりと片思いして、しっかりと振られて終わっているから。だから「高校生の恋愛」を体験しないまま大学生になってしまった。

やっぱり恋愛には、その年代の恋愛というものがある。だから大学生でできた彼氏とは、大学生の恋愛しかできない。果たしてわたしがちゃんと「大学生の恋愛」をしてきたかどうかは定かではないけど、お金はないのに時間だけはたっぷりあるよ、みたいなデートの仕方は、間違いなく大学生の恋愛だったなぁと思う。

そして迎えた社会人。わたしは社会人にもなって、高校生の恋愛に憧れを抱いている。

わたしの通っていた高校には、「カップルロード」なるものが存在した。カップルだけが歩くことを許された道。別に何の変哲もない道なんだけど、カップルでもない人は歩けない風潮があった。空いてるからこっちの道歩こうよと言っても、「え、でもカップルロードだよ?」みたいな。こんなふうに、彼氏彼女いない人たちからは、謎に神聖視されていた。

そこを一緒に帰りたかったな、と思う。駅までの短い距離を。もしも高校生になれるなら、テストだるくないとか、何限寝てたでしょとか、他愛もない話をし合って、またねって駅でバイバイしたい。明日も会えるのに、帰りたくないねみたいに言って、ホームのベンチに座りながら、夏の匂いを共有したい。明日も会えるのに、電車でも家でもLINEして、幸せな気持ちのまま眠りにつきたい。

部活のない日は午後にデートをしたい。学校近くのラーメン屋さんに行って、無心で麺をすすりたい。その後はショッピングセンターに行って、ゲーセンで大はしゃぎしたい。プリクラも。わたしはプリクラがあんまり好きじゃないけど、高校生の時にしか撮れないような、浮かれたプリクラも撮っておきたい。そしてフードコートの椅子に座って、タピオカを飲みながら、いつまでもおしゃべりしていたい。

わたしは帰ってこない青春を追い求めている。照れがあるのに、謎に勢いがあって、今になってみたらまぶしいだけの青春を。大人になって自由になった分だけ、自分がジャッジしたりされたりすることが増えたような気がして、ちょっぴりしんどくなる。

でも、高校生の時だって高校生の時でしんどかったよな。過去ばっかり美化してしまうけど、彼氏のいない高校生だったわたしがいたから、今のわたしがいるんだってことを忘れてはいけない。

かっこいいこと言ってみたけど、最近少女漫画を読み漁りまくってセンチになっているのは、本当にどうしようもない。

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