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昼休みに車中で長編を読み耽る、その幸せ

昼休みは専ら車の中で過ごしている。

ランチバッグを持って車の中に入り、まず冷房をつける。
お弁当はいつもスープジャーに入れたスープか味噌汁。と、白おにぎり。
狭い車内なので、ついこないだスープジャーの中身をスラックスの膝にこぼした。我ながらいつかやると思ってた。
15分以内に食べ終えて、次の15分で読書する。

車内では「平家物語」全4巻を毎日少しずつ読み進めていて、つい先日1巻を読み終えた。
歴史や古典を読んでいると流刑とか流罪とか配流とかよく出てくるけど、私はそれを僻地での終身刑みたいなものかと思ってた。
その認識が平家物語1巻で改まった。平家謀反の企て(鹿ヶ谷事件)が露見した藤原成親は、備前に流される途中で死ぬ。
「菱」という、尖らせた竹や鉄を並べたところに突き落とされて、明確に殺される。

それ、ありなんだあ、と助手席で私は本を開いたまま呆然とした。殺してしまうの、ありなんだ。
死刑を復活させた後の時代だからなのか。平安時代に信西が死刑を復活させるまでは、流刑が極刑だったらしい。
信西とは永く途絶えていた死刑を復活させた人で、そしてその当人が斬首とさらし首という最期を迎える。平家物語では語りの中でのみ登場する、それでも十分に印象的なエピソード。

いや、その前の時代にもあったろ? 今年の大河ドラマ「光る君へ」のくだりで見たが? という方もいらっしゃるかもしれない。そうですよね、直秀のくだりは悲しかったですよね。
死刑は、いわゆる私刑としては行われていたそうです。それを公に制度化させたのが信西。
この辺りも私は「平清盛」という大河ドラマで最初に知りました。懐かしいな。阿部サダヲの信西、名演だった。誰でもよーい!

昼休みの過ごし方、というお題で書き始めたはずなのに、昼休みに車の中で過ごす間に読む本のことでずいぶん語り続けてしまった。いや、面白いんですよ。古川日出男先生の現代語訳も素晴らしいです。
一巻の終盤も終盤に「佐殿」(源頼朝)のワードが出てくるのが熱いなあ、と思ってしまうのはこちらも大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を完走したからか。平家は栄華を極め、故に翳ってゆく、すなわち源氏が台頭し始める。

15分ほど読書した後は、15分目を閉じて横になる。
リクライニングを限界まで倒せるのは車ならでは。ちょっとくらい暑くてもこの快適さには換えられない。
そうして少しうとうとした後、昼休み終了15分前には席に戻り、歯を磨いたり頭を切り替えたりする。

といいつつ、車の中で昼休みを過ごせるのも今のうちかなあ……。暑さの盛りとなれば正午の車内はとても厳しいと思う。
フロントガラスの内側を覆う日除けのカバーを買ったので、もう少しあがいてみるつもりです。

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