見出し画像

TIMEの定期購読で得たブレイクスルー。

今週のTIME。久しぶりに心躍る記事が満載。世界の医療を支える100人を紹介するTIME HEALTH100が圧巻だが、最も印象的だったのは、4人の強い女性に注目した記事。これが今も記憶に残っている。

1人は表紙を飾るココ・ガウフ。10代で数々の偉業を成し遂げた彼女の特集。テニスだけではなく人種差別にもに声を上げる彼女のスタンスは魅力的だ。2人目は、ユリア・ナワルヌイ。プーチンを糾弾し続け刑務所で無念の死を遂げた、伝説的指導者アレクセイ・ナワルヌイの妻であり、彼の遺志を継いで政治活動を展開している。

3人目は、パリ市長であるアンヌ・イダルゴ。持続可能なオリンピックを展開するため、インフラ整備をミニマムとし、自転車専用道路による会場移動を可能とした。セーヌ川の水質汚染の改善は道半ばだが、彼女の政治信条はぶれない。最後に全米女子バスケットボール選手のブリトニー・グライナー。彼女は政治が絡んだ理由を含めロシアで拘束され、9ヶ月刑務所生活を強いられる。その壮絶さに言葉を失う。

今週号は、英語に関わる人間に是非読んでほしいのだが、TIMEの定期購読に関しては、常に賛否がある。紙媒体のTIMEなんか読まなくたって、CNNやBBCの欧米メディアのネット記事を読めば事足りるんじゃないの?記事文体が長すぎて読む気になれない。反トランプ、反ロシアに偏りすぎて中立的でない。とかね。

しかし、TIMEの魅力は、焦点を当てた人物の深掘りにある。政治事象やスキャンダルといった表層的な事実や背景だけではなく、そこに関わった人間の人生を徹底的に洗い出す。中にはゴシップ的な要素も含まれるが、硬軟バランスが絶妙であり、ここにTIMEの真骨頂があると僕は思っている。

TIMEのライバル誌としてECONOMISTがあるが、そのタッチは冷静・客観的であり、何やら新聞の社説を読んでいるようで、僕には楽しめない。TIMEの定期購読は7年目を迎える。初めは1ページ読むのに数時間かかったが、今は未知の単語に出くわすものの、記事の内容と遊び心を楽しむことができる。

英語学習者にとって、TIME購読はマイナーな学習法だが、一番におすすめする。時間はかかるが、その効果はリスニングにも影響するほど絶大だ。そして時とともに、その購読は学習というより、読書エンタメに変貌する。ページをめくる手が止まらなくなるのだ。もしかしてこれをブレイクスルーと呼ぶのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?