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今週のTIMEは買いだ。


今週のTIMEは買いだ。
センセーショナルな記事はそれほど多くないが、興味深い話題に溢れている。

セリーナ・ウイリアムスの特集。彼女の内面が深掘りされており、インタビュアの力量を感じる。グランドスラムの数は、マーガレットコートやステフィグラフとほぼ同じだが、彼女の凄い部分は、30才オーバーでのタイトル数が圧倒的に多い。晩年の強さは、常に差別と対峙してきた彼女のメンタルの強さと同義なのだ。記事では、彼女をアスリート・起業家・活動家・母・ファッションアイコンといった多様な角度から評価している。彼女がいなければ、大坂なおみもコリ・ガウフも台頭しなかった。彼女の影響力は極めて大きい。記事の難易度は比較的高めだが、辞書と情熱と好奇心があれば、必ず理解できる。

俳優であり、近年は活動家に力点を置く大物、アンジェリーナ・ジョリーの論説も圧巻だ。再びタリバンの支配下に落ちたアフガニスタンの女性を追跡した記事。たった2ページではあるが、彼女たちの苦悩、それに負けない抗議運動、男性に変装して学校に通う姿に心を打たれる。それと同時にタリバンの圧政に恐怖を覚える。彼女の英語は比較的センテンスが短く、理解しやすい、しかし、平易な言葉で理知的に論述できるということは、文章に強固なロジックが存在するということだ。僕は常に彼女の表現をパクリ、会話に落とし込む意識を持っている。知性を感じる英語だ。素晴らしい。

他には、サウジアラビアの気候変動対策。しかも原油輸出量を落とさずに気象対策を実行するという仰天プランだ。民主主義国家と違って、MBSが率いる王国の強みは、トップダウンであり、意思決定が迅速という部分だ。何よりも原油で得た資金力が桁外れだ。そして研究者が皆20代でアメリカで教育を受けてるエリートが計画を先導している。中東とゼロカーボン。痺れるほど面白いトピックだ。

その他は、アメリカの銃文化、チリの若き大統領が進める国家改革といった記事がある。表紙はロードオブザリングの続編の話題。実はTIMEの場合、エンタメ記事が最も難しい。未だにまともに解読できたことがない。映画、書評は1ページ読むだけでも大変だ。辞書で意味を把握しても理解できないケースも多々ある。

しかし、この苦行には価値はある。100%理解はできないが、おぼろげに筆者の主張を把握する。僕たちが日常で出くわすビジネスは、この連続だ。相手の主張が完璧に理解できなくとも、言いたいことをキャッチして返答する。難解なエンタメ記事の解読は苦行ではあるが、そんな視点から有益な部分がある。

TIMEは知識や情報を獲得するだけでも十分価値があるが、記事や視点を通じて、自身の見解を第三者に話すことで、自分の価値観を確認・醸成できる。常に自分はどう思うか?この意識を続ける日常とそうでない日常が1年続くだけで、発信者として相当の差がつくはずだ。

串鳥という北海道ローカル焼き鳥屋でビールをちびちび飲みながら、この難解で愉快な世界に浸っている。

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