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何に絶望していたのか、今となってはよくわからない

16才の僕は高層マンションの13階から飛び降りようと風を受けていた。ただ孤独だったイメージが残っている、誰にも理解されないで世界は2つに別れようとしていた。僕はただ倒れたまま生きていた、這いつくばるようなマネはしなかった。特にそんな姿を見て人は何も言わなかった、言葉は交わすけれど誰もこっち側にはいなかった。それでも体は存在し、同じ空間でそれぞれの暮らしが成り立った。それでいいじゃないか、いつかそう笑えるようになった。

あまりにも多くのことが意味を持ちすぎていた。考えればどうにかできると思っていたが、現実はまだ地動説のようには解明されていないようだ。Nintendo Switchを買ってたくさんのゲームをした。その中でただ目の前のことに集中するという頭の使い方を身につけた。するとゲームをしていなくても将来のことなど考えなくなった。ここにないもの以外、考えなくなった。あらゆる可能性は閉ざされ、未来は数分後に来るようになった。

何に絶望していたのか、今となってはよくわからない。パソコンから入ってくる心理学者の言葉に毒されたのかもしれない。僕しか知らない重要な何かはもう効力を失っている。画面が光ってるから真実に見えただけなのだと、いつか説明できる日が来る。考える力が衰えた、そして絶望の力も衰えた。力尽きた今が平穏だ。

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