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聞くスポーツとポッドキャスト

 日常が多くのデジタルコンテンツで埋め尽くされ、消費しきれない数の映画、ドラマ、ゲームや漫画など大量のコンテンツがマーケットに満ち溢れています。スポーツも然り、スマートフォンを開けばすぐに試合中継、ハイライト、ニュースなど大きなコンテンツの海へ潜ることができます。

 これだけエンターテインメントが充実しているにも関わらず、更に今オーディオコンテンツが急激に成長しています。オーディオコンテンツ、ポッドキャスト関連のニュースや特集記事を目にする機会も増えたのではないでしょうか。1960年台にラジオ離れが進みましたが、時代は回り、再びオーディオコンテンツに春が訪れました。この波に、スポーツ界はどのように乗っていくのでしょうか。

スポーツとオーディオコンテンツの親和性

 ポッドキャストの老舗Appleや音楽ストリーミングサービスの雄Spotifyなどマーケットの急成長を促すべく多くの競合企業がオーディオコンテンツに進出しています。プラットフォームは出揃い非音楽でもオーディオコンテンツとして発信できる土壌は出来上がりました。今回は、「観る」が基本になったスポーツと、オーディオコンテンツの親和性についてお話します。

 今スポーツコンテンツを考える上で映像コンテンツは絶対に外せないトレンドアイテムとなっています。しかし、試合映像や選手の肖像権に関する権利面を考えると誰でも受動できるコンテンツではありますが、誰でもが扱い、制作配信できるコンテンツではありません。

 誰でも自由に番組を制作することができるポッドキャストフィールドでは、試合映像や現地音声や選手の声をダイレクトで使用しない配信方式であれば配信者各自で用意した情報で試合のニュース、解説、実況などを制作し配信がすぐにできます。また、映像コンテンツに必要だった高度な編集技術やグラフィックスなども必要ないのでコンテンツを作る上では映像よりもオーディオコンテンツに軍配が上がるフィールドかもしれません。

 イギリス発のサッカーライフスタイルカルチャーマガジンの日本版『MUNDIAL JPN』は、Spotifyにてサッカー関連のポッドキャストを配信しています。元日本代表の遠藤保仁、細貝萌選手ら多彩なゲストが登場するだけでなく、キャリアや文化的な話もカバーするなど多岐に渡るコンテンツを対談形式で配信しています。スポーツ関連コンテンツを受動的にながら視聴できる強みを持ったコンテンツです。

 また鹿島アントラーズは今年5月音声配信アプリ「stand.fm」にて、鹿島アントラーズ公式チャンネルの配信を開始しています。広報活動も兼ね備えたクラブチャンネルとして通常の映像や文字コンテンツ制作よりも手間も費用もかからず尺に左右されない自由な配信ができます。ラジオのようにリスナーの聴取率を意識した番組作りは必要なく、地域を超えたクラブブランド発信チャンネルツールとしての機能も今後期待できそうです。

 スマートスピーカー、ワイヤレスイヤホンなどのハード面での進化でこれからますます音を起点としたデジタルコンテンツに活気が帯びそうです。今は映像コンテンツに比べると圧倒的にチャンネル数、コンテンツ量、知名度も低く国内での成功例が少ないスポーツオーディオコンテンツですが、いつでも聴ける手軽さが武器です。新たなファン獲得やファンエンゲージメント向上に向け、今後ポッドキャストを活用したメディアプロモーションが活況になる時代がやってくるかもしれません。


(文:SXLP2期/浦口元気)

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