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無理せず利用「訪問リハビリテーション」のすすめ

■そう簡単には「えいやっ」とはいかない

大規模の「デイケアセンター」をご利用するにあたり
はじめて利用される方には


「ちょっと、できたら家で自分の好きなようにしたいんだよな…」

お考えの方もいるのではないでしょうか?

実際に、私自身は大規模のデイケアセンターに介護福祉士として勤務していていたことがあります。
そこで、利用者さんの様子を観ていくと

「大規模の事業所ではある程度いくつかのグループが既にできている状態」

ですので、そこに初めて入っていくのは勇気のいることではないかと考えられます。

強いて言うならばこんな状況ではないでしょうか?

ましてや認知症ともなれば
「場所や時間」
「人や物」を認識することが困難になってきます。

それはまるで
海外旅行に行き
「言葉が通じない」

という困難や

「見るもの聞くものが毎日初めてだらけで右見も左も分からない状態」

であったり、身体の症状として睡眠障害も出てくるため

「時差ぼけ状態で毎日を過ごす状況」

ということを

かつて利用者さんから聞いたことがあります。

そして最大のネックは

やはり一番は

「プライド」もあるため

一筋縄ではいかないこともあります。

■「企業戦士かビールか?」

ある程度の集団となると必ず何人かは

「集団が苦手」

という利用者さんはでてくるものです。

あくまでも私自身の経験上ですが
どちらかと言うと、昭和以前に生まれた男性にそのような傾向があると思います。

なぜなら、その世代と言えば

家族のため世のためと思い働いてきた
いわゆる

『企業戦士世代』の男性陣

にそのような傾向が見られやすいです。

その中には、会社のお偉いさんや
一人で黙々と研究やもの作りに携わる
エンジニアさんや職人さんなど様々な職業の方がいらっしゃいます。
そのため、話す会話レベルや生活レベルが違い過ぎて逆に浮いてしまうということもあります。(これに関しては、介護スタッフもそのようなハイレベルの会話ができたり利用者さんへの配慮が自然とできればよいのですが残念ながら現状は厳しいものがあります。)

そのような利用者さんにお話を伺うと共通することがありました。

それは

定年前はやりたい事があったけれど
いざ定年を迎えて学生時代や幼なじみの友達に会おうとしたら

相手も自分も病院へ入院していて会えない

とか

認知症で会いに行けない。

とか

特に、営業職などに就いていた方の中には
働いていた頃は、みんなライバルだったから今は誰ども交流がない

そして

最終的には竹馬の友さえも

亡くなられたなど…

当然、50人程度の規模の利用者数だとこのような利用者さんもいたりするわけです。

さらに、会社に行けば

「男は閾(しきい)を跨げば七人の敵がいる」

と言われていた世代であったり

これまた昭和のCMだが

「男は黙ってサッポロビール」

とされてきた世代の方がいてもおかしくないのではないでしょうか。

特に男性が社会に出て活動すれば常にたくさんの敵がいても

黙ってそれを耐え忍んできた
(令和時代の今では女性が社会進出してきて女性にも同じことがいえる世の中ですが…)

はたして、そのような方々が突然大規模のデイケアやに通ったとしてもすぐに馴染めるか?

と言えば
よっぽどの社交家ではない限り

「無茶な話だ」

と私は思います。

当時は、私自身も雇われの身でであったので大きな声で

「○○さん、無理してここを選ばなくてもいいんですよー」

なんてことは

口が裂けても言えない身分でした。

■訪問に伺うと見えてくる、利用者さんの全体像

私が新人スタッフでケースワークの現場に携わる時には良く上司からこう教えられていました。

「自宅にいるときと、ここに(デイケア)に来ている時の利用者さんの顔って違うからその違いをよく観察してくるように」

これは、今となっても上手いこと言っていたと思います。

そうなんです、ご自宅に訪問すると事業所では見せない新たな顔というか
家庭内での立ち位置や役割が見えてきます。

例えば、ペットを仲介した会話が多い夫婦です。

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わりと、若い高齢者世代の方ですがこんな感じです。

それに対して

特に戦後の高度経済成長期頃には昼間は企業戦士として働き、自宅に帰宅したら疲れ切って夫婦の会話の場合では

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という時期をか抜けてきた方もいらしゃいます。

今の時代のシルバー世代はスマホとかガラケーでこのような会話が主流なところもあるのかと思います。

しかし、昭和生まれ以前の利用者さんは世代的にそんなものはありませんし
あったとしても、使うのが困難で利用できるのはまれなケースが多いです。

そうやって考えたら、ある意味会話の手段があるだけ
まだ救われる部分もあります。

しかし、利用者さんご自身が年齢的に
「認知機能が衰えてきたり」
「黙ってて察してくれよ」
という環境要因が背景にあると

やはり

様々な意味で話をすること事態が難しくなりますし、お手上げ状態ですので
手が出てしまう方も中にはいらっしゃいます。

素直に

「リハビリが必要」

「でも集団が苦手」

と言えればそれにこしたことはないのですが

「実際には冷め切った家族関係などで家にもどこに居場所が見当たらない」

となれば
もはや言えるような状況とはほど遠いものとなります。

「かといって、集団は苦手」

では、どうすればよいのか?

というと相談内容はどこのご家庭や事業所にもあるのではないでしょうか?

■「そうだ、デイケアサービスをやめてみよう」
~訪問リハビリテーション・訪問看護サービスのすすめ~

結論から言うならばこうです。
心身ともに壊れてしまうぐらいならば、一時的に現在利用している通所の事業所を中断するのもありかと思います。(ちょっと勇気がいることかもしれませんが…)

それに変わるリハビリサポートとして
「訪問リハビリテーション」「訪問看護」
でのリハビリサービスの利用をお勧めします。
どちらも、リハビリ専門のスタッフが配置されています。

こちらのサービスのねらいは、何もリハビリだけが目的ではありません。
例えばこのようなねらいもあります。

・ご家庭の中に第三者が入ることで利用者さんや介護にかかわるご家族のメンタル面のサポート

であったり

あってはならない事ですが
・虐待なども未然に防止できるメリットがあります。

このような諸々な意味でも

利用者さん自身やご家族の方々がつぶれてしまう前に

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このようにサービスの「自己決定」や「自己選択」をするのはあくまでも利用者さん自身です。

ちょっと難しい話かもしれませんが、特に1998年に社会福祉基礎構造改革(ちょうど介護保険法の法案が成立した翌年)がありました。
簡単にお話しをするとこんな感じです。
日本は1970年にはすでに世界最速で「高齢化社会」に脚を踏み入れていました。それと同時進行で「少子化問題」も日本は抱えていました。
そこで、今後増え続ける高齢者に対して福祉制度財政などの見直しが必要な時期となりました。

そこで、この改革ではこのようなことが実施されました。

福祉サービスは原則的に「措置制度」から「個人での契約」という形でサービスが提供されること

になりました。その流れで
「自立支援」の強化という意味で「自己決定権」や「自己選択」が謳われることになりました。

利用者さんの中には

「ずっと、スタッフさんにお世話になっているから…」

など気を遣われる方もいますが、基本的には「自立支援」や「自己決定権」を考えたら多少ビジネスライク的でやりにくいかもしれませんが、このよう場合はケアマネージャーへ「訪問リハビリテーション」や「訪問看護」の利用を相談するのもありだと私は思います。

私が勤務していた事業所にもご自身に会わなかったため辞めた方も当然います。しかし、中にはケアマネージャーさんの計らいで別の事業所に行き上手く適応された方もいます。

私が所属していたデイケアは医療機関の系列でしたので定期受診だけ来る方もいらっしゃいました。その中に、Aさんという軽度の認知症の利用者さんがいらっしゃいました。
Aさんは海外生活が長かったため文化や言語の壁がありました。
そのため、他の利用者さんの輪の中へ入っていくのが困難な方でした。
私たちスタッフもAさんの事を考えたら本当にここの事業所でよいのか悩みました。他のスタッフや私自身手も手が空いた時にはAさんと他の利用者さんの仲介をしていたのでよく覚えています。

ある日、突然ですがそんなAさんが私が所属するフロアにひょっこりと現れて顔を覚えていてくれたことがあります。お顔を拝見したら、ここの事業所にいたときよりも笑顔がみられました。

ある意味

「一つの事業所で居場所がなくて辞めても、他の事業所で元気で笑顔でいられればそれはそれで、その人にとっての自立支援の形としてありなんだ」

という確信が持てた場面でした。

■よくある質問
「最近街でみかけるリハビリ特化型のデイケアってどうなの?」

最近では、入浴も食事も排泄に関しても自立されている方のための

「リハビリ特化型のデイケアセンター」

が街のなかでよく見かけると思います。

確かに、ほとんどが半日利用の事業所ですしリハビリの専門スタッフや器具がそろえられていて、ある程度自立されている方にとっては利用しやすいです。
しかし、短時間利用とはいえ事業所のプログラムには

「集団でのリハビリ」

のプログラムをもうけているところもあります。
そのため
集団が苦手な利用者さんが利用される場合はケアマネージャーさんに相談をして実際に施設見学や体験をした上で選択することをおすすめします。

もし、それでも

「やっぱり無理」

とい時は
「訪問リハビリ」「訪問看護」をしばらく利用。

リハビリスタッフとのマンツーマンの関係性に慣れてきたら

②次の段階として「リハビリ特化型のデイケアセンター」を利用。


③さらに集団へ慣れてきたり、本人が行きたいという心境になった時点で
「デイケア」を利用するというのもありだと私は思います。

■まとめ

・集団が苦手な利用者さんのデイケアサービスの利用はご本人さんの状況を観察して心身ともにご負担ならば「辞める」といいう選択肢がある。

・デイケアサービスを辞めるという選択をした後の代替えサービスとして、リハビリスタッフが配置されている「訪問リハビリテーション」や「訪問看護」サービスを利用する手段がある。

・「デイケア」サービスの中には大規模の事業所もある。
集団が苦手な利用者さんにとっては、いきなり大規模の事業所を利用するにはハードルが高い。

そのため、利用者さんの心身の状況を段階的に観察。それに合わせて事業所を選択して利用するという選択肢もある。

今後もご家庭で介護をされている方や介護スタッフなどに向けて

「これってどうすればよいの?」

という事などを発信予定でいますのでよろしくお願いいたします。

ちょっと長くなってしまいましたが、最後まで読んでくださった方ありがとうございます。



























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