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【感想91】A24の知られざる映画たち

 特典目的で急いで3作品見に行こうと思ったら昨日時点でなくなったらしい。結構いい内容のだったし少しでも興味あるなら早く行けって事なんだな。
U-NEXTで配信はされるけれど、映画館で見れるチャンスは多分今回ぐらいだし曜日関わらず一本1600円(二回目以降は1400円)と若干安めに見れるので休日の暇な時間に噛み合うタイミングがあったら見に行ってほしい。

見に行った作品

スライス

 多分他作品とは全然毛色が違う、ホラーバカコメディ。いわゆるB級映画色がめっちゃ強い。
ひと昔前の海外ドラマみたいな温度感のコメディっていうのもあってだいぶ馴染みやすいからっていうのもあったかもだけれど、気楽に面白いのを見たいときにはオススメ。

 キングフィッシャーという街では人間に加えて幽霊や魔女に狼男が存在していて、幽霊については数万人単位の人口がいる上に幽霊のための疎開地を作ってそこへ全員移住させる政策が出ていたり、実質社会問題として扱われるほどの存在。そんな街でピザの配達員が連続で殺される事件を発端に様々な出来事が起きたりするお話。

 『デッド・プール2』や『ジョーカー』に出ていたザビー・ビーツが主役で、コメディも捻ったりしないで真っすぐだしA24だけれど小難しいところは上記の幽霊云々の前提条件があるってことぐらいなのでかなりライトに見れる。


ゴッズ・クリーチャー

 小さな村でのお話で、ここ最近で一番いやな田舎村の雰囲気を味わったと思う。
小さなコミュニティで生きているからこそ起こる小さな出来事の連続と、じっくりじわじわと主人公アイリーンを蝕んでいく自責と葛藤の様子はBGMも相まって劇場の環境で見るからこそよりいいもん見れたなって気持ちが大きい。

 7年ぶりに地元に帰ってきた息子のブライアンが起こしたことによって葛藤する母のアイリーンの心情を描いている映画。
閉鎖的な村社会故に起きるあるあるというよりは、村社会なせいで事態が悪化していくタイプのお話。なので直接的に「あ~こういうのあるよね」というのは表現されず、エッセンスとして加えられている要素に陰険さを感じる所が多いと思う。
ポール・メスカルを目当てで見に行ったけれど、ここでの役どころも『aftersun / アフターサン』とは一味違う、面白い人物なのでその時点で結構満足できた。
ただかなり平坦な話にはなっているおかげで退屈に感じる人が多い気はするから、人を選ぶっていう意味ではA24らしいっちゃらしい一本かもしれない。


ショーイング・アップ

 今回の公開作の中でも一番ネームバリューが強いかもしれない。
同時期公開された『ファースト・カウ』のケリー・ライカート監督に主演は『フェイブルマンズ』をはじめとしたミシェル・ウィリアムズと、映画にアンテナ張ってる人なら結構刺さると思う。
内容自体は日常の温度感とそこから垣間見える苦悩の連続は平坦だからこそ響くものがあったし、この機会がなかったら公開されていなかったかもしれないと考えると怖いなってぐらいいい映画だったと思う。

 8日後に個展の開催を控えた主人公のリジーが作品の作成に取り掛かる日々と、周りに翻弄といら立ちを抱えつつ過ごしていく様子を描いている。『ファースト・カウ』とテンポや雰囲気はだいたい同じ感じ。
表立って感情は見せないものの、表情が一貫して仏頂面であったり終盤に差し掛かってくると我慢の限界を迎えているだろう様子が見えてきたりと、締め切りがある故に浮き彫りになやすくなっている部分の描き方が魅力的。
ただ前半ウトウトして見逃した部分があるので、もう一度見に行くなりしてちゃんと咀嚼したいなって言うのが正直なところ。先述の通りネームバリューのおかげかこの作品だけあからさまに客入りがよかったけれど、淡々とした日常の描写が多い分少し眠気と闘わなければいけない時間が多くなるかもしれないのは注意しないといけないかも。



 他にもいろいろ見ておきたいな~って思いつつ、今になるまで劇場に足を運ばなかったことの後悔がどんどん大きくなってる。人との約束とか多くなると取捨選択が出てくるし、なかなか難しいね。

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