【感想53】aftersun/アフターサン

予告で何となく見ようと思いながら土曜に見に行ったけれど木金の疲労が抜けきらず数十分うとうとしてしまって序盤がまともに見れなかった。
それでも2/3ぐらいはちゃんと見たうえで「これもう一回みたいな」と思った衝動のまま月曜に2回目を見に行った。

そのうえでこの映画は今までのトップ10に入るぐらいには好きな映画になった。

 

父親のカラムと娘のソフィが過ごしたトルコでの休暇を覗き見るような104分。
ビデオで撮影しながら過ごしていた夏のひと時を当時のカラムと同じ年になったソフィが見返していて、それがわかるシーンが中盤の終わり頃と終盤の2シーンに挟まれる。ので、そのビデオを見ながら31歳になったソフィはどう思うか?というのが大きな焦点になってくる。

ただそういった観点はわかりやすく観客には提示しないで、とにかく2人が過ごしていた時間を見せることに注力している。時折カラムは内心抱えている何かを悟らせるような動きや表情、ソフィは大人への羨望がわかる視線や行為が出てくる。

実は明確にこういうのがあります、ていうのが上記ぐらいしかなくて、父親はもう亡くなっているとかこれが最後の二人での旅行だったとか、そういう見方があるにはあるけれど一切映画内では言われてない。
作品内でこうなんだ、ていう明らかな誘導があるわけではないので本当に見た人によって受け取り方や考えうる展望が異なってくる。

今の時代じゃわかりづらいとかハッキリしないとか他人任せとか悪く言われそうなタイプの映画ではあるけれど、受け手にゆだねる度合いがかなり大きい且つ制作側の意図主張が激しすぎない作品はめちゃくちゃいいなと思った。
好みっていうのはあるけれど、答えを求める必要があまりない映画はもっと出てきてほしいなとは思う。


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