【感想60】プロミシング・ヤング・ウーマン

今日読み切った本で真っ先に挙げたうえで話の展開があったので、じゃあみとこうと思って。

他人に勧めやすい ★☆☆☆☆
個人的に好きか  ★★★★☆

結論を言ってしまうと、ちゃんと考える余裕をもって見れるキャパシティがないと十分理解してこの映画の話をするのは無理だな。て思う。


数々の受賞歴を飾る理由はしっかりあって、中でもワンサイドな描写じゃないのは見ていてすごいなと1番思ったところ。

MeToo運動を皮切りに女性が虐げられてきた歴史に対する表現として、『MEN 同じ顔の男たち』や『ラストナイト・イン・ソーホー』といった”男たちが物のように女を消費してきた”ことに対する映画がちょくちょく出始めているけれど、今作は観客を女性側の立場に立たせようという意思はだいぶ弱めになっている。
というのも主人公のキャシーが「30前後で実家暮らし、親友のために大学中退と親友を思った復習に囚われ続けている、大きく括ればフリーター」と、作品の事を伏せてステータスだけ見れば男女関わらずかなり難しい人なんだな、というのが第一印象になる。
過去にどういった事があったのかは詳しく描写されず、キャシーへの感情移入がしにくいようになっているのもポイントになってくる。

結末としては三者三様に全員ちゃんとBADルートになるように的確な選択肢を選んでいる感じもこの映画に爽快感をもたらしていない理由の一つになっていると思う。
そもそも全員がそれぞれある属性を持った記号として登場する現実の延長のような世界なので、誰かに対して感情移入するというよりは自分は誰のスタンスなんだろうなあ、ていう投影した形で見ているのが近いかも。


完全な懲悪物でもなく、男が全員おかしい!ていう評判もしっくりこない(ライアンが相対的にだいぶ筋通った判断はしていたと思う)ので確かに評価されるよな、というのが見終わった後の感想。
初見で何も知らずに見るよりはどこかの批評を一回挟んでから見ると、どういう視点で見るべきなのか?ていうのが予め理解したうえで見れるのでいいかもしれない。

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