【感想17】ジョジョ・ラビット
先週の3連休が3年前宜しくミッチリとライブへ行ってたのもあって半年ぶりぐらいに映画館へ行かない週だった。
今月の前半は特に惹かれるタイトルなかったから別にいいんだけれど、習慣化していたのが途切れると結構気持ち悪い感じがする。でもそれを打ち消すぐらいいいライブだったしマエアロ(FF)。
スプ○とかいうバカしかやらないゲームも昼間にそこそこバンカラで気分いい結果で区切りがついたし夜にアニメ以外の見たかったドラマ映画を観ていたけれど、ずっと温めていたジョジョラビットがかなり個人的に好みの線をついてた。トーマシンマッケンジーが好きだからとかしょうもない理由でストックしていたけれど、今回はこの理由にマジで感謝(イナイレ)してる。
この映画自体は第2次世界大戦終盤、10歳になったアーリア人のジョジョがナチ軍に心酔しきっているものの、隠れて反ドイツ軍活動をしていた母親が匿っていたユダヤ人のエルサを偶然見つけたことから大きく考えが変わっていく話。
ナチ軍入隊志望の10歳のジョジョが頭の中で飼ってるヒトラー(タイカ・ワイティティ)と話すシーンが冒頭で始まる。結構こういうシーンが差し込まれるけれど、監督のタイカワイティティのコメディというのもあるし頭の中で飼ってるペットだからかなりマイルドな描写のヒトラーになってる。むしろコメディリリーフを率先して担っているので出てくるたびに笑える。終盤の沈んだ空気の中でユニコーンの頭の丸焼きを優雅に食ってるとかプールで潜りながら舞う目で変な泳ぎ方をしていたりと、3回に1回映るとめちゃくちゃ好き放題してる。
ヒトラーを出すこと自体、姿を出すなら軽率にキャラをいじったりはできないけれど、子供の想像上の、というところで何をやらせてもいいような感じに仕立て上げているのはうまいなと思った。
舞台が第2次世界大戦終わりぐらいのドイツなので終盤に向かっていくにつれてかなり重くなっていく。もうTwitterの痛いタグでワンシーン分ネタバレが広まっているけれど、今まであのコメディ調のヒトラーが好き放題できる明るい雰囲気からあのシーンによって一変していくのが結構驚く。それまでに描写していたシーンの積み重ねが効いているのもあるので、ここから一気に引き込まれてしまった。
ジョジョは自分の臆病さや不必要な果敢さで軍に入れなかったけれど、そのおかげで考えを改めて生き残ったことになる。臆病者とヤジったり戦地に行けることを喜んでいたその他の少年たちが前半では目立つけれど、途中からは怪我だらけで意気消沈した姿で帰還する兵士たちが出てきたりと、ジョジョの考え方が変わっていくのに合わせて周りの人の様子や環境が徐々に変わっていく。
エルサもキーマンの一人で、ジョジョの思想に疑問を持たせる役割になる。結構機転が回るシーンが多くて、ユダヤ人の住んでいるところは?に対してジョジョの似顔絵を描いて「そこに住んでるよ。」と皮肉で返す。
当然ジョジョとの絡みが9割だけれど、まあオネショタにはなる。けれどユダヤ人とアーリア人との認識に疑問を投げかけて徐々に仲良くなっていくのは見てて面白いし、終盤でジョジョが直面するドイツ軍の実情をさらに際立たせる効果も担ってる。
エルサと話していくことで今まで植え付けられていたユダヤ人への偏見は和らいでいき、終盤ではおそらく急場しのぎで兵士にされたヨーキーが見てきた「ユダヤ人はただの人間だったよ、ガッカリだ」といったセリフや、街中での他国軍による制圧に対抗するのが老若男女、一般市民すら加わらざるを得ないぐらい追い詰められている状況を見てドイツの現実を理解することになる。
自分の個性が活きて生き延びるのはフォレストガンプを思い出すけれど、愚直さとは違って偶然生まれた小さな疑問から改まることで、自分の弱さが一転して活きることになるのはかなりいいなと思いました。
飼っていたヒトラーも、本物のヒトラーが亡くなったことをヨーキーに言われてからはしばらく出てこないのも彼が亡くなったのを意識したからで、最後に出てきたのも今までのナチズム意識との決別の意味での登場だったので作中通して本当にいい役割と担っていたと思う。
終盤の重い空気感とは打って変わってラスト自体は爽快感すらあるいいシーンなので、監督の塩梅が本当にいい具合に機能している。
主要キャラそれぞれ、特にキャプテンKなんかの心情も考えつつ見るのも楽しい気がする。ディズニープラスにしかないけれど、まあ面白いのでディズニー作品観るついでにでも見てほしいです。
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