瞑想を続けてわかった、「心が癒える」ということ
先日8月31日よる、東京・池袋にて瞑想会を開催しました。ありがとうございました。主催者である私としても、瞑想の素晴らしさをあらためて実感できる、よい機会となりました。この場を借りまして、重ねて、御礼申し上げます。
■心が癒える実感がある
かつての私は統合失調症に類する症状を抱えて苦しんでいました。30年近く前はそうした精神疾患に関する情報は流通しておらず、また「弱い人間がなるものだ」という偏見も強かったため、当時の私はそうした症状を真正面から捉えることは難しい状況にありました。
一方で、精神面で抱えている数々の症状の輪郭をなんとか捉えられていた私は、西洋医学にとらわれない根本解決策を求めてさまよっていました。そんな中、20代の終わりに瞑想のことを知り、「これは私にとって必要なものだ」と確信し、自分なりに取り組み続けてきました。
当時はまだマインドフルネスなどが流通していたわけではなく、また自分にあった瞑想法を体得できていませんでした。そのため、瞑想に取り組みつつも、瞑想に挫折した時期も何度もありました。
ですがそれでも、自分の内側の何かが、瞑想を求めていたのでしょうか、20年間、様々な瞑想法を学び、チャレンジしつつ、瞑想の世界を探求し続けてきました。20年をかけて取り組み続けてきた結果、今では睡眠・歯磨きなどに並んで、私の人生においては欠かせない習慣となりました。
そして今では、こうして他者に瞑想の良さをお伝えする立場にもなりました。しばしば「教えることは学ぶことだ」と言いますが、まったくその通りで、何よりも私自身が瞑想をするたびに、数々の瞑想の恩恵をあらためて受け取っているように思います。
■「なぜ瞑想は心を癒やすのか」について考えてみました
最近私が感じ取っている瞑想の効果がひとつあります。それは、瞑想が可能にする「心の癒やし」の効果です。
瞑想には、「深い瞑想状態」に入るための、いくつかのコツがあります。例えば、しっかり身体をリラックスさせることなどです（詳しくは瞑想体験会などでお伝えしております）。こうしたポイントを抑えながら瞑想を進めていくと――これは体験的に分かってくることなのですが――、独特な意識状態に変わっていくのが分かります。
この「独特な意識状態」とは、人によって多少、体感の種類が異なりますが、おしなべて次の2点で共通しています。1つが、自分の肉体に対する感覚が薄まること。もう1つが、自分の思考や感情の動きに対して、第三者のような立場で観察できるような状態になることです。
日々の瞑想でこうした瞑想体験を積み重ねていくと、不思議なことに、自分の心の傷とも言うべき何かが、無条件に和らいでいくのが分かるのです。
多くの人がそうだと思うのですが、ある程度長く生きていれば、ネガティブな状況を少なからず経験します。自分の失敗に起因するものであれ、理不尽な状況に巻き込まれたものであれ、ある程度の強度が伴う心の傷であれば、ふとしたはずみに意図せず思い出し、目の前の状況に集中できないようにするトラウマ的な症状を引き起こします。これは生活のクオリティをとことん下げてしまいます。
他方、瞑想は心理学的にも、また医学的にも様々な健康改善のエビデンスがあります。それらを踏まえたうえで体感的に言いますと、このような「自分を第三者的に見つめること」が、自分に対する無条件の癒やしになっており、心理学・医学的な調査はそれをデータとして拾い上げたということなのではないかと思っています。
ここからは私のさらなる仮説ですが、愛と言われるものの重要な一側面がそこに現れているのではないかと思います。つまり、何をしたとしても、またしなかったとしても、自分のありのままを、批判することなく、ただ見てただ受け入れる――それは重要な愛の一形態なのではないかということです。
普通に生きていれば、我々は比較と判断にさらされることは否めません。そしてその比較と判断は実質的に「人格の格付け」になっています。つまり、現代社会を生きる中で、優越感と劣等感を嫌でも持たざるを得ない状況下において、鬱屈した気持ちや疲弊した感覚を抱えるような事象の経験がある程度は避けられない、ということです。
一方で瞑想は、自分に対して自分で無条件の愛を注ぐという重要な一手段になっているのではないか、というのが私の仮説です。瞑想においては、自己の感情や思考の動きを、ただ何も言葉を加えず、（結果として）ひたすら見つめることになるためです。そしてそのプロセスを経験する中で心的な問題が癒えていく、という構図になっているのではないかと私は考えています。
この仮説が正しいかどうかは、これからも私自身が確かめていくつもりではありますが、おそらくそう的はずれなものではないのではないかと確信しています。私自身が20年をかけて確かめてきた瞑想は、私自身に大きな変革をもたらしてきたためです。
下記のWebページもぜひご参照ください。
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