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どこへも行けない僕たちへ(リモート映画作品キャスト募集)

今日も陽が沈む。総武線がゆっくりと通る音、閉じられた釣り堀で喘ぐ鯉たち、風に揺れる木々。
斜陽に照らされ、木々の影がアスファルトの上に長く伸びている。
水面に反射した光が僕の網膜に届く。
ああ、なんてうつくしいのだろう。ずっと見ていたい。そう願っている。
まるで何も起きてないかのように、世界は変わらず美しくあり続けている。

ここ最近の日々は、一人旅に似ている。あのどこまで遠くへ行っても、自分を動かすのは自分なのだと痛感する瞬間の連続。決して僕以外の何も、僕をどこへも連れて行ってなんてくれないのだと明確に思い知り、ただ人生の孤独さと自分の無力さに出会うあの瞬間。目の前の光景の素晴らしさを誰とも分かち合うことができない虚しさ、自分とはなにかを考え続ける永遠とも思える道中に似ているのだ。

僕はここ数年、繰り返されることを疑わなかった日々たちの尊さも忘れ、新しく輝くものを追い求めていた。どこかにたどり着きたくて、何者かになりたくて。日々目の前に出現するものをなんとなく片付けていれば、何かを身につけているような気分になれた。自分がなにかに近づいているのだろうという漠然とした希望を携えて生きていくことが、きっとあの頃はできたのだ。
しかし日常が急変し、近頃は皮肉にも、立ち止まることによってそれが幻影であったのだと気が付き始めた。
日常の急変という事象自体にはそんな意図はもちろんない。僕個人の悩みなんかより、もっと大きい問題が日々起こっている事も知っている。
だけれど、僕自身にだけ焦点を合わせれば、この一ヶ月はなんの進歩もない日々なのだ。やるべきことを見失い、必至で繕っていた鎧が剥がされた気分だ。そりゃそうか、だれもどこへも連れて行ってくれないのだから。ただそれに気づかないようにしていたけれど、気づかざるを得なくなったまでだ。

日常が元通りになるかなんてわからない。ならないかも知れない。でも少なくとも、僕は元通りになってほしいと思う。その願いを持つことはそれぞれの自由だ。僕の魂を震わせるような、奇跡みたいな日常の些細な瞬間を、誰にも奪わせたりなんかしない。悲観的になることが大人としての振る舞いなら、僕は立派な大人になんかならなくていい。ただ愛するものたちを、再び愛でるために醜くもがくのだ。

そこで、僕がすべきことを考えた。
僕は料理も作れないし、誰かの命を救う能力もない。多くの人に安全を呼びかける知名度も、誰かを導く言葉を発せるほどの知性も権威もない。僕は基本的に無力だ。何もできない。ただ仮に、僕にできることがあるとすれば、それはきっと映画を作ることなのではないかと思った。
映画というものは一般的に、特段生活に必須なものではないだろう。しかし少なくとも、「こういうのがあれば良いよね」という気持ちで生み出されてきたものたちが、「実際は無くても良かったよね」と見なされる世の中には、僕はなってはいけないと思う。
「最低限生きる上では必要のないもの」が平然と存在している状態を僕は愛しく思うし、そんな世界であってほしいと願う。
それが豊かということなのではないだろうか。そして、その豊かさを望む人も、実は多くいるのではないか。

これから作る作品は、なんの変哲もない、平凡な人間の願いとして、あなたと豊かな日常を生きたいというささやかな祈りだ。
決して多くはないかもしれないが、これが人々に届いてもしそれが誰かの日常の安らぎになるのなら、僕はこの上なく幸せだ。

しかしながら、僕の力はとても小さい。僕だけでは作品というものは到底作り上げられない。
だから、これを読んで一緒にものを作りたいと思ってくれた方がいたら下記をご確認いただければと思います。
誰かとつながっている。その実感が持てるだけで、孤独な戦いも、ほんの少しは心強くなることもあるかも知れない。

誰かと繋がっていることが、かつてきっと、僕を生かしてくれたから。



※フルリモート撮影の作品になります。

■タイトル
未定 

■あらすじ
休校中の高校。新学期を迎え、クラス替えが行われたが授業は始まらないまま日々が過ぎていく。新クラスのLINEグループだけができ、そこで一部の生徒たちのみの交流が行われている。
主人公の男の子は我関せずといった様子で友人とゲームをして過ごしていたが、ある時主人公のもとにメッセージが届く。送り主は新クラスで一緒になった一人の女子生徒。主人公は不思議に思いながら、その女の子とメッセージのやり取りを繰り返し、次第に仲を深めていく…。

■募集キャスト
・主人公  高校2年生男子 16歳 1名
・ヒロイン 高校2年生女子 16歳 1名

■応募条件
打ち合わせやリハーサル、撮影等時間をかけて作品づくりに一生懸命向き合ってくださる方

■応募方法
件名を「フルリモート作品オーディションエントリー_(お名前)_(性別)」
※()内にはご自分の情報をお入れください。
としてsomatsumo0222@gmail.comまで、下記項目を記載・添付の上お送りください。

-年齢(不問)
-写真(顔、全身がわかるもの各1点以上)
-出演歴(演技歴不問)
-メールアドレス/電話番号
-楽器演奏の可/不可(可の場合は楽器の種類も)
-所有している撮影可能の機材(iPhoneも可)
-どんなことを感じて自粛期間を過ごしていますか?また、この企画のどんなところに興味を持って応募してくださいましたか?自由にお書きください。

■締め切り
5/5(火) 24:00

5/8(金)21:00 までに結果を報告させていただきます。
二次選考の詳細についてはその際、ご連絡致します。

■選考方法
一次 メールでの選考
↓  ↓  ↓
二次 zoom等での面接による選考(一次通過者のみ)

■スケジュール
~5/15 脚本打ち合わせ
5/16~5/20 リハーサル、撮影テスト
5/21~5/26 撮影
5/27~5/30 編集等
5/31 公開
※上記スケジュールは目安です。

■公開方法
YouTube、TwitterやInstagramなどのSNS等

※個人情報の扱いに関しては、本作品のオーディションのみに使用し、それ以外での目的では利用いたしません。
※20歳以下の方は、YouTube等で公開される旨、保護者の同意の上でご応募ください。

■最後に
長くなってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。
この作品に素敵なものを与えてくれるような熱量のある方との出会いを楽しみにしています。
ちょっと興味あるけど、自信ないなという方も、遠慮なくご連絡ください。僕もきっと迷って応募しないタイプですので、お気持ちわかります。ですが今回はほんのちょっと勇気を出して、送ってみてください。
一緒にこの作品を作り上げましょう。きっと楽しい2020年の初夏になると思います。
たくさんのご応募お待ちしております。


2020年5月3日 松本窓

※私の参加作品等に関しては、somatsumoto.comをご参照ください。
※その他質問等ございましたら、松本窓Twitterアカウント(@ufam_gkr0222)までDMください。

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