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映画館の席は譲ってはいけないです。

どうも元シネコンスタッフです。大学生のとき4年間大手映画館でバイトしていた私の経験を元に、最近話題になっている「席交換するか問題」について触れたいと思います。

結論:勝手に交換しないでください。

ちょっと厳しく聞こえるかもしれませんが、「席の交換」は映画館としてはかなりセンシティブというか、重要な問題なのです。というのも映画館のチケットの価値は、映画鑑賞にもありますが、指定席券という意味合いが強いです。立ち見があった昔の劇場とはかなりニュアンスが異なります。そしてお客さんからのクレームの大半がこの「席」に関してです。隣同士で席がとれないや前の方しか空いてないや、自分の席に他の人が座っている等のトラブルは全て席を巡る問題です。

ずれたせいで座れなくなる人が出現

こんな例もありました。夏休みの繁忙期。あるお客さんが自分の席がないので、一つずらしてくださいと他のお客さんに言った所、その列の全員が一つ席をずらし、また別のお客さんの席がなくなりました。まもなく、上映が始まるので、すでに薄暗い中、列全員のチケットを確認することもできませんでした。結局座れないお客さんには予備シートを案内しましたが、当のお客さんは完全な被害者です。どうしてこんなことが起きてしまったのでしょうか?一つずれてくれと言われたら自分だったら拒絶します。その人たちは、一個ずれればいいと思っていたかもしれませんが、そこから派生する問題がすごく難しいのです。嘘のようで本当の話です。

映画館のチケットを第三者が転売可能か?

映画館が混み合う、春休み、夏休み、冬休み、GW、シルバーウィークで、劇場が混み合うのは想像できると思います。人気作品であれば尚更です。そんな映画館の上映スケジュールのチケットがすべて買い占められて、それを売り捌くビジネスモデルはどうでしょうか?みんな映画が見たくてきてますから、作品が見れるのなら転売でも当日指定席のチケットを買いそうじゃないですか?
実際、前売り券や無料鑑賞券はメルカリやヤフオクで大量に出回っています。席の交換を勝手にするということは、「交換してもいいですよ。ただしお金を払ってください」という個人の裁量が可能になることを指すと思います。それってダイナミックプライシング的な考えで言えばアリだとは思いますが、さらなるトラブルが増えると思います。

席の値段を変動させるのも面白い。

今回問題になっている「席を譲ってくれませんか」というのは、座席の値段がすべて同じという前提があると思います。もし席の値段が一個ずれただけで変わったら?ということを最近考えます。人気の席の位置は確かにあります。真ん中、一番後ろ、通路側、スクリーンの目線の高さなど、個人の好みもありますが、人気の席の値段を時間帯や作品で変動させると、気安く「譲ってくれ」なんて言えないと思います。普通の席の人がエグゼクティブシートの人にそれが言えないように、気安く譲ってくれと言えない仕組み作りをシネコン側が工夫すべきだと思います。

コロナ後の映画鑑賞の形

パンデミックが収束してきて、家でネットフリックスやAmazonプライムを見てきた人が、「家よりも映画館」となってきている感覚が個人的にあります。劇場で鑑賞する映画体験の良さが再注目されて嬉しい反面、シネコン業界の方には、新しく出た議論や課題に適切に対応してほしいと切に願います。

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