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言語学者だからって外国語が得意なわけじゃない。

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Thun 湖と牛が大好きな、スイスラボ所属の言語学者による、言語学小咄。 日々の雑感を、言語学に(むりやり)絡めながら綴る予定です。
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#バルト語

リトアニア、言語学者のための大人の遠足

私Yamayoyam、一応今のところ本業は言語学の博士研究員でいられてます。 いつまで続くかわからないけれど(汗) 先々週は、リトアニアのヴィリニュスで開かれたバルト語学の学会にご招待いただいて、ちょっと言語学者っぽいことをしてきました。 コ○ナ禍をはさんで3~4年ぶりにリトアニアに行ってきましたので、印象に残ったことを綴ってみたいと思います。 ストックホルムから、ラトビアのリーガ経由でヴィリニュスまで、バルティックエアという航空会社の便で飛んだのは、9月21日水曜日の夜。

Evidentiality について思うこと

みなさん、こんにちは。 Yamayoyamです。 世の中はこのところ、一難去らないうちにまた一難がやってきてしまった様相を呈していますね。みなさんも色々と思うところがあることと思います。が、この言語学マガジンではどんな時も、言語についてのよしなしごとを綴っていこうと決心いたしました。今回もいつも通り、言葉のあれこれについての記事です。 ストックホルム大学で博士論文を書いていたとき、シチリア出身の友人と知り合いました。実家(義実家だったかも)にオリーブ畑とぶどう畑があって、

蜜のはなし

こんにちは。スイスラボの言語学者 Yamayoyam です。 私はひょんなことからリトアニア語の歴史に興味を持って、大学院の修士課程からリトアニア語の勉強を始めました。今回は、リトアニア語と日本語が古くから共有していた「みつ」という言葉について、思い出話とともに綴ろうと思います。 学部3回生のときに言語学研究室への配属を選び、印欧語比較歴史言語学というのに出会いました。地理的にある程度つながりのある地域で、体系的な類似性が相互に観察できる言語たちがあります。ヨーロッパで古

にんじん古今西北

みなさん、こんにちは。 Yamayoyamです。 あちこちの記事で「ストックホルム大学のバルト語学科で勉強した」と書き散らしてきたので、もうおなじみかも。Yamayoyam はかつてスウェーデンのストックホルムに住んでいました。 スウェーデンはバルト海をはさんでリトアニアのお隣さん。ですから、スウェーデン語は北ゲルマン語、リトアニア語はバルト語で語派は違いますけど、昔から交流が盛んでした。 そのせいなのか、ストックホルムのスーパーで買い物中に「おや?」と思うことがたまにあり

空と太陽と文法性と語幹子音とあれこれあれこれ

みなさん、明けましておめでとうございます。 Yamayoyamです。 新年早々タイトルもヘッダーもごちゃごちゃですが、お許しを。 日本では寒波がきていると聞きます。日本にお住まい・滞在のみなさん、どうぞ暖かく過ごしてくださいね。 意外や意外、ベルンは年末年始、ちょっと不気味なくらいぬるかったんです。そんなベルンにもちょっと遅れて今週あたりから冬将軍がやってくるみたいです。 日照時間もだいぶ短いこのタイミングで敢えて、太陽に思いを馳せたいと思います。そんなことを思ったきっかけ