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俺にとっての2020年を、読んだ本で振り返る

2020年が終わろうとしてます。今年を総括なんて正直できないですねぇ。なにせまだまだコロナ騒ぎは続いていますから。個人的な音楽活動の総括は年明けてからやるとして、今年はなにせいつも以上に本を読みました。そして自分が手を伸ばす本が自然と「資本主義の終焉」「その後の世界」を想像させてくれるような本になりましたね。

まずはこちら「感染症の世界史」石弘之著ですね

コロナ禍を予測した予言書のような形で本屋さんには平積みされてましたが、いざ読んで見ると、人類史とは感染症の歴史であり、海外渡航が世界史上最も頻繁に行われるようになった現在、いつ新しい感染症が出て来てもおかしくない、と言う話です。「人間の遺伝子の半分以上がウィルス由来のもの」なんて改めて衝撃ですよね。て言うか、そう言うものだと認識することが今のコロナ「騒動」の収束には欠かせない気がします。「根絶」と言う一見正義の言葉が政府発表などで出て来ますが、その認識はこの先さらなる災禍を産みそうで怖いですね。

あとこんな事実もメモがてら残しておきます
*地球は微生物で満ちていて、年間200万トンを超える細菌やウィルス、5500万トンの菌類の胞子が霧雨のごとく降り注いでいると言う。
*人に病気を起こす病原体は2001年現在1415種知られている。細菌が538種、ウィルスが217種、菌類が307種、原虫が66種、寄生虫が287種。人間の病気の60%が動物由来感染症。この半世紀に出現した新興感染症75%も動物由来

ここら辺はまさにここ100-200年世界を覆って来た「資本主義」「アメリカ式資本主義」が人間にとっての地球を終わらせようとしていると言う警鐘を鳴らす本です。そこにマルクスの著作「資本論」そして晩年の未発表原稿に資本主義の後の世界へのヒントがあると。ついマルクスと言うと「共産党宣言」が引き合いに出され、旧ソ連や中国の一党独裁社会主義を思い起こす人も多いですが、マルクスは決して「一党独裁」は言っているわけではなく、コミューン〜共同体による社会を提案していたと。貨幣ベース、そして成長前提の社会のあり方が地球環境を破壊し、差別を生み出している。実際新型コロナを産んだのも乱開発と家畜の需要拡大、そして海外渡航の活発化など、つまりは資本主義による産物なのだと。

次のモードに少しずつ変わっていく気配は感じるものの、旧態然の方々が権力を維持している現在はまだまだ災難は生み出されそうです。でも我々市民から少しずつ変わっていくしかないんだなと気づかせてくれる本。特に後者「人新世の資本論」は「今からできることの積み重ね」こそ大事だと熱いトーンで語られるオススメ本です。

未来へのヒントを探すのに、こうした壮大な視点の本もいいですね。こうした電化製品に囲まれた人類史はまだ100年ちょっと。数万年の人類史のほとんどは違う形で、地球と、他の生命と共存をして来た訳ですから。まさに「SDGs」な「継続可能」な社会のあり方はすでに過去にヒントがある訳です。SDGsの為に新たに何かを開発、開拓するナンセンス。身近なところに縄文時代の痕跡が今も残る日本。そこをちゃんと見つめて、感じることで次の時代に繋いでいける気がする「縄文聖地巡礼」。

911の衝撃で衝動的に書かれたと言う「緑の資本論」は、イスラム教の原理にまで立ち返り、1神教同士の産んだこの世界の分断、矛盾を説いていきます。最後の方に記されていた「シュトックハウゼン事件」は今ある芸術家とジャーナリズムの齟齬を考察したすごくいい話だったので、後日また触れようと思ってます。

何を持って野蛮と言うのか?も考えさせられますね。原始的な生活をしている人々をその行動パターンから「野蛮」と言いがちですが、よく見るとそこに自然との共存の知恵があったりする。レヴィ=ストロースの講義などはまさにそうして「知恵」「知性」とは何か?を改めて考えさせられます。

Black Lives Matter~BLMも今年話題に問題になった訳ですが、そんな中読んでいたこの本は自分にとってその「黒人差別の原点」を垣間見たような気がしました。と言うのもまずホモ・サピエンスとなった我々の祖先がアフリカで誕生した訳ですが、そこでアルビノ(奇形児)として生まれた白人がまずアフリカを追い出されたと。最初に差別を受けたのが白人〜アングロサクソン側だと。そこに人類として負ってしまった差別の根元があるのではと言う話です。それがあるが故に、17世紀頃にヨーロッパ史が編まれる際に、本来はエジプト〜黒人の影響で生まれているギリシャ文明を、白人のみで構築した文明であると言う物語を作り出して、黒人知能劣等説を広めていくことになったと。感染症を軸にみる世界史と合わせてこの、精神分析学的視点でみる世界史を読むことで、2020年現在というものがよく見えて来ます。

この本も音楽教育自体を大きな歴史の中で再考していきましょう、という形の本です。そもそも「音楽」という言葉は日本では明治時代以降にMusicの訳語として誕生したものですからね。その、明治以降の欧米列強に追いつけ追い越せという形で行われた音楽教育、そこが産んだ矛盾点を色々示されていて面白かったです。「子供は元気に大声で歌うもんだ」という思い込みが、幼少期に音楽を嫌いな人を産んでいるという話、西洋的な「正解」を明確にする音楽教育の影響で「音痴」が誕生した。そもそも「音痴」という概念も存在しなかったのに、、、という話とか。カウンセリングという処方の怖さについてもなるほどでしたね。登校拒否の生徒へのカウンセリングなどは「ウンウン」と話を聞いてあげつつも、最終的には「学校に行くことだけが正解」という考えを押し付けているのではないか?と。確かにそういうことの積み重ねで、学校教育はカウントしやすい市民を作りだすシステムに成り下がっていやしないか?という点は長期的にも見直すべき点な気がします。

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この他にも
内田樹「サル化する世界」
網野善彦「日本の歴史を読み直す」
パオロジョルダーノ「コロナの時代のボクら」「素数たちの孤独」
安部公房「デンドロカカリヤ」
東山彰良「流」
村上春樹を読み直したり、、、

イマイチだったのを含めると
30冊くらいは読んだかな

一人で呆然としてるなら、是非本に触れて見るのがオススメです
それもタブレットじゃなく、生身の本の方がオススメです
本の方が肉体的な行為として読める訳ですから
そのほうが確実に体に入って来ます

少しでも心を強く広く大きく保つためにも

2020年お疲れ様でした
来年は少し展望が開ける年になりますように


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