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野球選手に重要なDBAL

ファシアの記事前回の記事に関連して、今回は野球選手にとって重要なファシアラインの一つであるDBAL【Deep Back Arm Line】について掘り下げます。

▌DBALの特徴

 まずは下図を御覧下さい。

DBAL【Deep Back Arm Line】

 このファシアラインは、上部頸椎に始まり、肩甲帯および上腕の後面を通り、前腕尺側から小指へと連結します。

 DBALには、野球選手にとって重要なローテーターカフの3つの筋肉(棘上筋・棘下筋・小円筋)が含まれており、このファシアラインに何らかの問題が生じると、肩関節の安定性にも支障をきたす可能性があります。つまり、DBALの弱化(筋力低下や疲労蓄積など)は、インピンジメントや腱板損傷のリスクを高めるということです。日頃からこのファシアラインを意識し、弱化を防ぎましょう。

 また、DBALは頸椎および胸椎ともつながりがあるため、それらのアライメントが整っていることも肝要です。それには、骨盤傾斜や骨盤のアライメントも適正であることが前提となります。

 特に上部頸椎(C1~4の横突起が肩甲挙筋の起始)のアライメントは重要であり、いずれかに変位があると、肩甲挙筋に影響が出て(凝りや血行不良など)、肩甲骨の可動性を阻害したり、寝違えを起こしやすくしたりします。いわゆる”スマホ首”にも注意したいものです。


▌DBALリリース

 DBALをリリースする最も簡単な方法は、このファシアラインをストレッチすることです。まず下図左側のように腕を前方に伸ばし、小指側を外に向けて(手背を上に向けて)上肢全体を肩甲帯含め水平内転させます(腰の捻転は極力最小限に)。さらに、同側の首の後ろ側も伸ばすために、頭部を斜め前方に倒します(右DBALなら左斜め前方、左DBALなら右斜め前方)。この状態を20~30秒キープしましょう(呼吸は止めない)。頸部と上肢を分けてリリースをおこなってもかまいません。

DBALストレッチ(©草野球のサイト

 また、ターゲット筋の下にマッサージボールなどを置いて、適度に圧をかける方法でもリリースは可能です。


▌DBALファシリテーション

 さらに、DBALの活性化(促通)には、パピーポジション(下図)での重心移動(前後左右)が有効です。まず伏臥位になり、肘を支点にして腕の力だけで上半身を持ち上げます(肘は肩の真下に来るようポジショニング)。

パピーポジション(©自主トレばんく

 この体勢のまま、赤ん坊がずり這いをするように、肘と前腕を使って、体を前後(頭足)左右に移動させます(距離は適宜)。手を空手チョップの向き(前腕中間位)にしておこなってもかまいません。

 いかがでしょうか?もちろん、他にも重要なファシアラインがありますが、まずはこのDBALをしっかり押さえておきたいものです。

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