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顔のゆがみは頸椎のゆがみ?

▌気になる顔のゆがみ

 最近、テレビをみていて気になることが一つ。それは、俳優さんやアナウンサーさんの顔のゆがみです。元々人の頭部は完全に左右対称ではありませんが、下顎に向かって左右どちらかに顔が曲がっている人をよくみかけるようになりました。具体的に例を挙げることはできませんが、一昔前より増えているのではないかと思えてならないのです。

 特に女優さんやモデルさんは死活問題でしょう。あまりに酷いと、みていて気の毒になります。無論、ゆがみの原因は一つではありませんが、今回はその辺を掘り下げてみたいと思います。


▌顔のゆがみの原因

 先天的な原因や大きな外力が加わるなどの事故的な原因を除き、主に考えられることを挙げてみると、以下のようになります。

 ● 歯(特に奥歯)の治療の左右差:左右どちらかの奥歯や親不知を虫歯でたくさん削っている・抜歯している・被せ物をしているなど → 噛み合わせが悪くなる
 ● 上記のような理由で食べ物を左右どちらか片側で咀嚼することが多い
 ● 後頭骨または上部頸椎(C1~C3)のゆがみ
 ● 拒食症、過食症による嘔吐の繰り返し

 4番目の原因はかなり極端な例ですが、過度のウェイトコントロールや精神的ストレスなどで拒食症や過食症に陥り、嘔吐を繰り返すことで胃酸により歯が脆くなってしまうという悪循環です。女性に多いと聞きますが、これも最終的には歯が要因となります。マラソン選手や体重による階級制の競技選手などにも起こり得ることです。

 やはり歯は大事ですね。

 1番目と2番目、2番目と3番目はそれぞれ関連性があり、共通項は咀嚼筋です。咀嚼筋は以下の4つの筋肉の総称になります(下図)。

 ● 外側翼突筋【がいそくよくとつきん】
 ● 内側翼突筋【ないそくよくとつきん】
 ● 側頭筋【そくとうきん】
 ● 咬筋【こうきん】

咀嚼筋


▌歯が先か、筋肉が先か、骨が先か?

 顔のゆがみを考えるに当たって、少なくとも歯と咀嚼筋はペアで考慮すべきです。しかし、両面からのアプローチはいろいろな問題があってなかなか成されていないのが現状です。すでにその辺に気づいておられる歯科医の先生はいらっしゃって、実際に歯科と整体を組み合わせた治療を提供されていますが、まだまだ希少です。

 また、顔のゆがみの一因となる噛み合わせの問題を、専用のマウスピースによって改善を試みておられる歯科医また口腔外科医の先生もいらっしゃいます。原因不明の腰痛が、噛み合わせの改善で治ったという、嘘のような本当の話まであります。ここまで来ると、これは歯科の枠を越えて、もはや整体の領域ですね。

 私はカイロプラクティック的見地で人の体と向き合っているため、顔がゆがんでいる人をみると、まず歯のことを聞いてから、咀嚼筋の左右差と上部頸椎の変位をチェックします。歯が先か、筋肉が先か、骨が先か、その辺を突き止めるのは非常に難しいのですが、ある程度の推測はおこなった上で調整とアドバイスを試みています。単なるみた目のゆがみだけでなく、それが顎関節にまで影響を及ぼしてしまうと厄介です。顎関節は「命の関節」とも呼ばれ、口の開けにくさ、関節音(クリック音)などの違和感や痛みを生じるだけでなく、食べること自体に障害が出て、二次的、三次的にさまざまな問題へと連鎖していきます。

 ところで、咀嚼筋の神経支配は、下図の通り三叉神経(第5脳神経)の第3枝、下顎神経です。

咀嚼筋の神経支配

 下顎神経の根幹は三叉神経脊髄路で、第1~3頸神経が関与します。つまり、後頭骨および第1~3頸椎とも関連があるということです。このうちのどれかに変位があると、それによって左右どちらかの血行不良などが生じることが多く、咀嚼筋にも影響が出るのです。これまでの経験上、これはほとんどのケースでリンクします。

 実際に、骨へのアプローチから、顔のゆがみや顎関節の問題が改善したという場面を幾度となく経験しています。筋肉へのアプローチだけでは片手落ちだと考えますが、これ以上は立場上何も申し上げません。

 顔のゆがみへの対処法をまとめると、少なくとも以下の3つが挙げられます。

 ● 歯からのアプローチ
 ● 筋肉(咀嚼筋)からのアプローチ
 ● 骨(後頭骨または第1~3頸椎)からのアプローチ

 骨からのアプローチは、日本では法的な制約から盲点と言えます。もしこの3つがうまく融合できれば、顔のゆがみはかなりの確率で改善できると考えるのですが、現実はなかなか難しいでしょうね。

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