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頭が痛み心が傷む

痛い

私の1日の始まりは、右側頭部の激しい痛みだ。
目の奥、頬、歯の神経、舌の痺れ、その日により範囲が違う。
眠気が勝って、痛みをごまかしつつ二度寝に入れる時と、どうにもこうにも耐え難く、のそのそと起き上がり鎮痛剤を冷たい水と一緒に口に流し込む日と…。
最近は、ほぼほぼ薬を飲む朝だ。

痛みが治るまでだいたい2~3時間ぐらいだろうか。
布団からリビングに移動して、テレビをつける。
必ずボリュームをゼロにする。
私は耳が聞こえないから音声は必要ないし、こんな時間に音で家族を起こしてはいけないから。

買わないけど通販にくわしくなる

Netflixも録画したドラマも頭に入らないので、とりあえずテレビ画面は視界に入っているがストーリーを追うようなものは見ない。

この時間やっているのはたいてい通販。
驚くほどキレイに落ちる洗剤や、柔らかいトマトも分厚いサンドイッチもスパっと切れる包丁。
シワだらけだった顔が30日続けるとツヤツヤになる化粧水、100万回試してもコーティングが剥げないフライパン…
もしくは、NHKなら百名山や何かの再放送。

東の空が明るくなり始め、
固まった背中の力が少し抜けて、大きく深呼吸できるようになれば、そこから私の新しい1日のスタートだ。

雲の隙間から青空が見えると少し救われたように感じて洗濯機のボタンを押すのだ。

「はぁ」

このため息を目が覚めてから何回吐いたかな。
どのくらい大きな声なのか私には分からないけれど、自然と出る吐く息に素直に従いながら、自然体で吐き出してみる。
このくらいの声許されても良いじゃないかと…。
私の声はすこぶる大きく評判が悪いのだ。
私も調節できたらとっくにしているのに。

聴力が落ち始めて、完全に失聴してから何年経ったかな。
自分の年齢よりも、我が子が何年生だったを基準に時が流れている。

「手術ですか?」
「あぁ、あれは娘の運動会を見納めで即入院だったので、娘が小5だから、えっと、と言う事は私の年齢はというと…」
といった大変遠回りな数え方しか出来なくなっている。

ん?歩けなくなってのみこめなくなったらね


これまで何回も開頭手術を受けてきた私に、
主治医は言う。
「QOLを考えると、もうやりたくないよね。
歩けなくなって、飲み込めなくなったらね。」

これは、何を意味するのかと言うと、脳圧亢進により平衡感覚を失ってふらつきが増し、嚥下が上手く行かなくなったら、と言う事。

だから、まあ、もう、あまり無理する事なく生きたいのだけれど、毎日起こるさまざまな事を受け止めて処理しながは、けっこう失敗し、あたふたする日々。

それでも、よくここまで頑張ったなと思う。
痛みは、心も身体も消耗する。
そんな毎日を生きている。
昨日も、今日も、明日も。

#頭痛 #聴覚障害 #中途失聴 #難病


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