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絵は質量

ちょっと昨日の続きみたいな話なんだが、黒の塗り潰し作業について。

前にも説明したが、自分の鉛筆画法の基本は気泡を作るようにランダムな8の字に塗り潰していくこと。

しかし、今回は試作品ということもあって、かなりスピードを優先している。ので、塗り潰しが普通のハッチングになっていることが多い。

直線的なハッチングによって、背景にスピード感や方向性を与えている場合もあるので、一概にもいえないけど、やっぱり手抜き部分ではある。

この手抜きは一目瞭然的なものだと自分では思っているが、「その差は何か?」というと”質量”の差だと思うのだ。


なぜこんなに何度も塗り潰しの話をするかというと、この”質量”こそが(少なくとも自分の)絵を観る人の心に直接訴えかける根源だからで、実際、自分でも描いていてこの”質量”が一定を超えると、画面からこちらに圧力のようなものがかかってくるのだ。

”質量”(と自分が呼ぶもの)は、作業を重ねるほど出てくる。その作業が失敗で、やり直すことになっても結局そのやり直した分も含めて質量になってくれる。これは絵に限らず、他の色々な作業でも感じること。(ただし不思議と”行き過ぎ”はあるのだが。)

それで”絵は質量”ということになる。
絵の価値なんて色々なので、それはほんの一面ではあるけれど。
いろんなものが非物質化している人類文明の状況で、この”質量”にいつまで、どれほど価値があるのかわからないけれど。

わからないからこそやってみよう、というのは無謀かな。
”質量”を重ねることは無駄な努力ではないのに、”質量”を主張することは無駄な努力になる可能性だってある。


今日の進捗↓

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