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効率化の世界
また今日も制作に関係ない話を。
突然、漢字のはなしから。
「掠奪(りゃくだつ)」の「掠」は「掠(かす)める」という意味なので、「掠め奪る」掠奪の非道な語感が感じとれて納得がいくが、当用漢字から外れた「掠」に代わって当て字の「略」を使って「略奪」とするようになったのだそうで。
「略」は
1はぶくこと
2おおよそ、あらまし
3はかりごと、計略
という意味だから、「略奪」は「略をはかって奪う」という意味にはなるが、元々の掠め奪るにある”狡さ”みたいなものは滲み出てこず、ちょっと残念な気持ちになる。
これは漢字の簡素化といえばいいのか、ノーマライズと行っていいのか?省略することで効率化をはかる進歩というのは確かにあるとは思うが、どこか情緒のようなものが失せるような方角とも思える。
効率化の進歩が裏で掠め奪る情緒や多様性。
こういった情緒や多様性の減滅みたいなことが、「効率化」のようなものから派生してるのかな、と思うことがある。
基本、便利なものは効率的だ。数値化というのはある意味、便利な効率化で、個人の個性を数値化できれば比べたり、優劣を決めるのに効率的。
SNSの「いいね」は承認欲求の数値化にして、人間性の価値判断を「効率化」したとも捉えることができると思う。
しかして、この効率化は個人の価値判断を一目瞭然にはしたが、人間の多様性を減じ、生きにくさを助長することになっている。
効率化を求める社会は、さらに、”役に立つもの”を重視するようにも思える。
この記事を書いているnoteに溢れるのは「豆知識=ライフハック」記事の数々だが、まさにその状況そのものが記事の多様性を大きく偏らせている。
とはいえ、とっても便利なのがこの”ライフハック”。自分も特にユーチューブの動画なんかで、ちょこちょこ参考にさせてもらうこともあり、とってもありがたいし、みんなの生活レベルを底上げしてくれていると思うんだが、それは”文化的進歩”というよりは”文明的進歩”という印象で、むしろ文化を掠め奪るような印象すら漂う。
厳しい時代になると、文化は育たない。文化とはそもそも実益のあるものとは言えないからだろう。
文化が薄まるとどうなるか?それは日々の無味乾燥を意味してもいる。間違いや逆戻りのような余裕が文化には必要なはずなんだが、効率化の世界ではそれは失点になる。効率化の世界で育つのは文明だ。
明治時代は”文明”開花で始まったし、その言葉の響きにはどこか絢爛さのような豪奢さを漂わせつつも、実際の明治期の文明の波に掠め奪られた何物かを想像するのに、それほど時間のかかることではないだろう。
それは単純な日本の古いしきたりとか因習とかというよりは、その行間にあるような”文化”だったのではないだろうか。例えばの話ね。
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