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49. 料理しているように片付けたい?

「料理しているように片付けて欲しいんです」

「…どう言う意味??ですか?」

「だから、料理しているように、片付けて欲しいんです」

「…(困惑)(私は何を求められているのでしょうか??)」


よくよく話を伺ってみると、

これから料理をし始めようと思っていて、

でも何から始めたらいいのか、
料理をしたことがないから、わからない。

だから、「料理しているように、片付けて欲しい」と言うことでした。


わかったようなわからないような…^^;


要は、

「料理しているキッチン(風)に片付けてもらえれば、
 料理ができる(はず)」

という考えで、片付けをご依頼されたとのことでした。


そうですね…

いろんなご要望に時間内で終わらせるようお応えしてきましたが、

基本的には、

「片付いている風」
「うまくいっている風」
「生活感がある風」

に、片付けることができません。


もし、

「片付いている風」
「うまくいっている風」
「生活感がある風」

に仕上げることができる場合、
それは片付けではなく、「スタイリング」になるかと思います。


雑誌や書籍の撮影に、
アシスタントとして同行したことがありますが、

スタイリストがスタイリングするモノは、「撮影用」です。

実際の料理に使われず、撮影のためだけに
専門の業者から借りたものです。


また、撮影する場所も、撮影専用の「スタジオ」です。

スタジオによっては、
海風、山小屋風、別荘風など、いろんなテイストがあり、

雑誌や書籍の内容によって、テイストを合わせます。


天井も普通の住居とは比べ物にならないほど高く、
窓の位置や窓枠のデザイン、サイズ感も通常の家とは全く異なります。

「通販雑誌で見て買ったけど、家に届いたら思いの外大きくて困った」

というようなことが起こるのは、

撮影する場所そのものが、
通常の住居ではないため、

広い空間で置かれた家具が
家においてもいい感じに収まるよう錯覚してしまうためです。


なので、「料理しているように、片付ける」ことが、
なぜ無理なのか、わかっていただけるかと思います。


もしも、料理・キッチン関連で片付けの本領が発揮されるとしたら、

「料理するのに、いつも使いづらくて困っている」
「料理するたびに、散らかっていく」

「子供が大きくなって、
 料理する量と食器、保存容器が大きく変わって困っている」

「子供が離乳食からつかみ食べするようになり、
 キッチンをダイニングをもっと使いやすくしたい」


という

「現状、キッチンを使っていて、料理もしていて、具体的に困っている」

場合のみです。


片付けは現実です。
片付いた風には、できません。

料理をしないのに、何を片付けたいのかが
そもそも認識できません。

案の定、

キッチンにあったのは、
おたま、フライ返しがなぜか2本、菜箸、サランラップが2本。

冷蔵庫もスカスカ、
キッチンの収納もスカスカ。

フライパンと、サイズの合わない蓋がいくつかと、
大量のレトルトと即席ラーメンがありました。


こういった場合には、
「料理しているように、片付ける」ためには、

フライ返しを1本、どちらを捨てるかを選んでもらい、
まずは、毎日1食を自炊していただくしか方法がありません。

(結局、フライ返しは手放されませんでした)


一食ずつ、自炊することでしか、

何が必要で、
何が足りなくて、
何があったら便利なのか

これを理解することができません。

ここを理解できずして、
料理道具を揃えることはできないため、

料理道具=モノがなければ、
残念ながら片付けのしようがない
んです。


「使っている風」に仕上げても、
実際に使わなければ、意味がなく、

そもそも料理しないのなら、モノ以前に、
キッチンすら必要かどうか、わからなくなって
しまいます。

外食がほとんどで、キッチンが必要なく、
使わないで綺麗なままというお客様もいらっしゃいます。

特に、何も問題はありません^^


逆説的になりますが、

解決するには、片付けるには、
まずは、「困っている」必要があります。


まずは、困るまで料理してみてください。

何に困るのか、実感してみてください。
それから申し込みをしていただくので、大丈夫です。


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