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お菓子作りは596.6の書架に

その図書館の書架は、冬の陽射しを浴びながら、数多くの本で満たされていた。それぞれの背表紙には、0から999までの数字が記されており、無限の物語が秘められていた。

待ち合わせ場所の図書館でカメに出会ったとき、ウサギはふと、「お菓子を作ってみたい」と口にした。彼女はこれまで食べることに喜びを見いだしていたが、今はその美味しさの秘密を探りたくなったようだ。カメは静かに答えた、「それは分類番号596.6の書架だね。」

「596.6?小数点がつくの?」とウサギが首を傾げると、カメは説明した。「596は料理の分類なんだけれど、料理には種類が多いから、さらに10のグループに細分されているんだ」。 しばらくして、ウサギは本を手にして書架から戻ってきた。彼女はしばらくの間、お菓子の写真に心を奪われ、目に恍惚とした輝きを宿していた。

「見ているだけで癒されるわ」と、ウサギは上の空で囁いた。カメは優しく提案した。「次の休日には、美味しいスイーツを食べに行こうか」。 「お菓子は作るより、やっぱり食べる方がいいわね」と、彼女はいつもの自分に戻り、期待に満ちた目で彼を見つめた。来週の休日の予定は、こんな感じで決まったのだった。

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