5万人の声よ 君にとどけ
「おはようございます!『ウサギのティースプーン』のお時間です」小さなラジオブースの中で、ウサギはいつものように元気な声で番組を始めた。
「さて、ここでラジオネーム『図書館にこもり切りのカメさん』からの質問をご紹介します。『ウサギさんは、最近ライブに足を運んでいますか?』といただいています」
「 実は私、先日、東京ドームに行ってきたんです。YOASOBIの結成5周年コンサートがあったんですよね」ウサギはマイクに向かって楽しげに話し始めた。
「本日の1曲目は、YOASOBIの新曲『NEW ME』です。さぁ、それではお楽しみください」ウサギが紹介を終えると同時に、軽やかなメロディがスタジオに響き始めた。
「久しぶりのドームで、5万人の熱気に圧倒されました。ボーカルのikuraさんが『5万人の声って、こんなにすごいんだ』とつぶやいた瞬間、会場全体が一斉に歓声の波で揺れたんです」
「コンポーザーのAyaseさんが『人生の集大成をこのライブに詰め込んだぞ』と宣言した瞬間、胸がぎゅっと締めつけられて、思わず涙がこぼれそうになったんです…」ウサギはその時の感動を噛みしめるように、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「特に印象的だったのは、ikuraさんが一曲歌い終わるたびに『ありがとう』って言ってくれたこと。その一言がじんわりと心に響いて…」話すたびに、その声には少しずつ熱がこもっていった。
「みなさん、ライブを楽しんでいますか?あの迫力ある演出や、臨場感はやっぱり格別ですよね。カメさんもぜひ、ライブの世界を楽しんでくださいね♪ 」
「それでは、次回もお楽しみに。」ウサギは、最後まで明るい声で番組を締めくくった。
放送を終えたウサギは、ふとカメのことを思い浮かべた。「あのアイドルが卒業してから、もうライブには行ってないのよね…」そうつぶやくと、「さあ、元気づけに行ってみようかしら」と立ち上がった。
ウサギは深く息を吸い込み、軽くストレッチをした。そして、「NEW ME」を口ずさみながら、図書館で待っているカメのもとへと軽やかに駆け出していった。