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お茶に咲き 散る花びら

鮮やかな色の流れと幻想的な音の渦が、かすかな香りを纏って、ウサギとカメを優しく包み込んでいた。二人のまわりは夢の中のような、案内図のない迷宮の世界だった。

「何か不思議なことが起こりそうね」とウサギは静かに言った。その一言が、未知の世界への扉をそっと開いた。

現実のような幻の世界

ここは麻布台ヒルズの地下に広がるチームラボ・ボーダレスの世界。「一度行ってみたいわ」と、いつかウサギが呟いたその言葉が、二人をこの場所に導いたのだった。

ホールを繋ぐ通路に目を向けると、白と黒のモノトーンの、まるで鳥獣戯画の一場面のような行列が永遠に続いていた。

迷宮の中の鳥獣戯画の世界

ホールに一歩足を踏み入れると、縦と横の境界がぼやけ、まるで上下に浮遊しているかのような奇妙な感覚が二人を包み込んだ。

縦横無尽に光の中に身体が浮いていく

二人はしっかりと手をつなぎ、空気の中に漂う見えない波動を感じ取りながら、その不思議な空間を全身で感じ取ろうとした。

銀河の星々を見上げる感覚

立ち寄った「EN TEA HOUSE - 幻花亭」は、現実感のない薄暗いカフェだった。二人の目の前に、ガラスの器がそっと置かれた。

畳のテーブルに置かれたガラスの器

器にお茶が注がれると、その深い緑の上に、花びらが一枚、また一枚と開いていく。「見て、お茶の中に花が咲いていくわ」ウサギは思わず息を呑んだ。

お茶が注がれると、お花が咲いていく

お茶を一口含んだ彼女が、静かに器を元の場所に戻すと、花びらが踊るように円を描きながら、穏やかに舞い散った。

まわりながら散っていく花びら

「お花の様子は、予め決められているわけではなくて、お茶を飲む人の振る舞いで変わるみたいだよ」と、カメがそっと言った。

二人は魅入られたように、いつまでも、自分だけの花を咲かせ続けていた。

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