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城ヶ島の恋する灯台

ウサギとカメの二人だけを乗せたフェリーが、静かに城ヶ島の港へと近づいていた。船が波を切る音は次第に小さくなり、やがてフェリーはゆっくりと桟橋に着いた。

波の音を聞きながら船を降りると、二人は城ヶ島灯台へと続く階段を一歩一歩踏みしめていった。灯台に目を留めた瞬間、ウサギは引き寄せられるようにその場を駆け出した。

「恋する灯台」の一つ、城ヶ島灯台

「どんなに嵐がひどくても、灯台はずっと海を照らし続ける。だから、この恋する灯台は、これからの私たちをきっと導いてくれるわ」ウサギは少し照れたように言いながら、灯台の周りを一周した。「その想いがあったから、ここに来てみたかったの」

扉の向こうに海が広がって見える
トリックアート

「そして、この城ヶ島にはもう一つ『恋する灯台』があるのよ」と彼女は言葉を継いだ。「見て!この地図を。二つの灯台が赤い線で繋がっているでしょ?」

 左が城ヶ島灯台    右が安房埼灯台

二人は安房埼灯台に向かって、海を見下ろしながら歩き始めた。ウサギがふと足を止め、くるりとカメの方に振り返った。「見て!あの岩、ハートの形をしているわ」

馬の背洞門

「恋する灯台を結ぶ道を歩いていて、ハートを見つけるなんて、これも運命ね」と、彼女は目を閉じて、胸の前で小さく手を重ねた。

長い道のりを歩いてきた二人は、ついに安房埼灯台にたどり着いた。

安房埼灯台

城ヶ島に別れを告げ、三崎港まで戻ると、海南神社へと足を向けた。源頼朝が自ら植えたという御神木が、そっと二人を待っていた。

海南神社
御神木の大銀杏

「おみくじがあるわ。あなたが釣ってみて」
ウサギの言葉に、カメは釣竿を手にした。

金鮪みくじ

「ねえ、早く開けてみて。恋愛のところ、なんて書いてあるの?」ウサギは待ちきれない様子で彼の袖を引いた。

恋愛運  =  今の人が最上迷うな

カメがおみくじを読みあげ、ゆっくりと視線を上げると、ウサギが夢中になって自分の顔を指さしているのが目に入った。

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