見出し画像

ご褒美はスイーツとともに

一筋の雨が、ゆっくりと窓ガラスを流れた。中目黒の街は静かな雨音を奏でながら、春の訪れを待ちわびていた。ウサギとカメは目黒川に沿って歩きながら、日本にただ一つの、焙煎機を備えたスターバックス リザーブ ロースタリーへと足を運んでいた。

店内に足を踏み入れると、コーヒー豆を焙煎する香りがウサギとカメを出迎えた。それでも、二人が向かったのは紅茶の世界だった。2階のティバーナにたどり着くと、ウサギの目は壁に釘付けになった。「カメくん、見て!ティーカップが壁一面に並んでいるわ。私には考えもつかないデザインね…」彼女の瞳は店内の灯りを映して、キラキラと輝いていた。

一方、カメはスイーツのディスプレイに心を奪われていた。春の訪れを告げるミモザにちなんだ「トルタミモザ」や、ほんのり桜の風味が漂う「トルタさくら」に、彼の気持ちはすっかり甘く染まった。二人が選ぶメニューは緩やかに流れる時間に決められていった。

カメのチョイスは「トルタさくら」と
クリームソーダ抹茶の組み合わせ

「これは昨日走ったご褒美ね」とウサギはささやき、二人はクリームソーダで乾杯した。そして、春の訪れを告げるスイーツを心ゆくまで味わった。

ぼんやりと日が暮れスターバックスが夜の顔を見せ始めると、二人は店に別れを告げた。「また明日から、新しい目標に向かって一緒に頑張ろうね」と、ウサギは二人の気持ちを言葉にした。

雨粒が小さなダイヤモンドのようにきらめき、街灯でその輝きがさらに増していた。「また来ようね」二人の足取りはどこか軽やかで、時折交わされる笑顔と視線が、二人のためだけに時間を遅らせていた。

この記事が参加している募集

#おいしいお店

17,461件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?